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２９☆ ページ29
なんでも
うまくいきそうな気がしてた
全てが満ちていて、もうこれ以上何もいらない
と心から感じることができている
4月の終わりの夜は何不自由ない心地よさで
全てが、ほんとに全てが満ちてた
どれぐらいそうしていただろう？
キミが枕元に置いていた腕時計を見る
「何時？」
あ「11時」
「そうか…」
門限が迫ってた
俺は起き上がる
‘‘行こ’’と声をかけようとすると
Aが枕に顔を伏せていた
「どうしたの？」
押し付けたまま首を振る
また動かなくなる
泣いてるんじゃないかって思ったとき
キミは勢いよく顔を上げた
あ「帰りますか」
電車がやって来る
キミは切なげだった
引き留めたい衝動を払うために
下手な軽口を言う
「０時までに帰らないと魔法が解けちゃうよ」
あ「解けちゃうね」
ついさっきキミと一緒に歩いた道を
1人で歩いて家に着いた
さっき Aが寝てた
枕元のわきに何かが落ちてた
メモ帳だ
だいぶ使い込んでる
見覚えのないデザイン
たぶん俺のじゃない
表紙をめくって最初のページを確認した
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作者名：ありす | 作成日時：2015年10月3日 20時
