俺は明日、昨日のキミとデートする (ページ15)

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１５☆ ページ15

河原に2人で座った

沈黙に焦らなくなっている自分に気づいた

‘‘ちゃんと付き合ってくれって言えよ”

親友の助言が浮かぶ

言わないより、言った方が絶対いいと

俺の視線に気づいたキミ

あ「ん？」

「なんか福寿さんとこうしてることが

変な感じがする」

あ「だね、私あんなの初めてだったから」

最初の告白のことだ

あ「私、彼氏とかいたことないから

急に‘‘一目惚れ’’とか言われるの

ちょっと憧れてたから嬉しかった」

最初に声をかけた俺はたまたま

ラッキーだったのか？

あ「でも、誰でもいいわけじゃないよ

私、そういうのは慎重だよ

慎重すぎるほど慎重だよ

恋には憧れつつも、慎重だよ

もはや病気だよ」

キミは俺のネガティブな考えを消してくれた

「そこまで」

あ「ううん、そう」

頑なに言う

あ「でもね、ほんとのこと言っていい？」

「何？」

あ「私、ずっとあなたのこと見てたんだよ

気づかなかったでしょ？」

とっさに言葉が出ない

上目遣いに俺を見る

俺のことを？どうして？

「いつから？」

あ「ちょうど、あなたと同じぐらいから」

「それ、ずっとじゃん」

あ「そういうわけなのです」

告るんなら、今じゃないのか？

でも最初のデートで？

いきなりだと引かれないか？

やめようかと思った

今日1日、俺は頑張った

でも

水面を見つめる横顔から待っている気配がした

「福寿さん」

キミはすぐに振り向かない

これから何が始まるのか

覚悟したような溜めを置いて振り向いた

この瞬間に浸りながら

映る世界を永遠に焼き付けようとしているかの

ような、そんなひたむきな眼差しだった

「俺と付き合ってください」

あ「はい」

キミは瞼を指先で拭ったあと

もう一度言ってくれた

あ「はい」

その表情を前に

俺はキミの名前を思い浮かべる

福寿A

そのとおりだ

福笑いの福と、キミは言った

自然と溢れたキミの笑みには

幸福を呼び込みそうな美しさがある