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少し外も暖かくなってきた心地の良い朝に、旭は自然と目が覚めた
寝ぼけたまま、力の入らない右手で携帯の電源をつけ、時間を確認する
『6時…』
朝が特別弱い人間でもなく、早い時間にいつも目が覚めてしまう
『ちょうどええわ…起きよ』
目が乾燥し、二度寝をしてしまいたいと思いながらも、遅刻は絶対にしたくはない
朝起きた瞬間から仕事のことを考えつつ、ベッドから抜け出した
『えっと…今日はあの人と…あの人と…』
自身の職場である事業所に、今日は誰が来るか確認をする
就労を支援する現場で働く旭は、精神疾患を抱える利用者の軽作業や梱包作業をサポートする職についていた
『
ぽそぽそと独り言を言いながらキッチンまで行き、乾かしてあるコップを手に取り水を入れる
それを一気に水分の枯渇する体に流し込んだ後
『ま、それはそうとして、僕が元気やなかったらなんもできへんし、今日も元気に出勤するか!』
わざとらしく子供のように右腕を上げ、無理やりにでも気合を入れる
白米と質素なおかずという朝食を腹に入れ、仕事場に向かった
電車を降り、山に囲まれた道を十数分歩いて職場につくと、出勤している職員はまだ誰1人居ない
こじんまりとした事業所はアパートの一室を借り、職員2、3人に対して利用者5、6人が利用している
まずは仕事用のメールが来ていないか、自身の机に向かい、確認をする
『うわ!先生久しぶりや』
パソコンを立ち上げ、メールのアイコンをクリックすると、一通、旭の通っていた大学の先生からメールが来ており、思わず大きな声を出してしまう
『うちの大学の学生を、ボランティアとして行かせたい…』
学生がボランティアに来ることに意欲的なこの事業所は
今まで何回もさまざまな学生が実際の現場を体験するために訪れている
『わぁ、嬉しいねぇ…』
ぜひきてくれた学生には、利用者とどんな交流をしてもらおうかと考えていると、部屋のドアが開き、今日出勤の職員が現れる
「おはようございます」
『おはよー』
彼女も自身の机に荷物を置く
そして、腕を組んで悩んでいる様子の旭に声をかけた
「なんか悩んでるんですか?」
『いやね、僕が通ってた大学の先生が、うちの大学の生徒がボランティアでここ来たいよって言ってるらしくて』
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過眠(プロフ) - のまさん» ありがとうございますとっても嬉しいです( ; ; )がんばります✨ (4月6日 15時) (レス) id: 8ab364d8bc (このIDを非表示/違反報告)
過眠(プロフ) - 大阪谷さん» コメントありがとうございます☺️楽しみにしていてください✨ (4月6日 15時) (レス) id: 8ab364d8bc (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 過眠さんの文章が好きです!頑張ってください😊 (3月22日 23時) (レス) @page7 id: 68538f0e3a (このIDを非表示/違反報告)
大阪谷 - 新作ありがとうございます!楽しみです☺️ (3月14日 13時) (レス) @page1 id: 382b1b8271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:過眠 | 作成日時:2024年1月22日 20時