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demon25 ページ26

「あいつは僕を狙ってる!殺されかけたんだ!

この辺に出たんなら早く逃げないと──」



刹那。

本当に、一瞬でアツシを床に押し付け拘束した。



『あら、お見事。流石は物騒探偵社ならぬ武装探偵社。』

「云っただろう。武装探偵社は荒事専門だと。茶漬け代は腕一本かもしくは凡て話すかだな。」

「まあまあ国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。
社長にいつも云われてるじゃないか。」

『じたばたしてもみっともないわ。彼ら頼れる武装探偵社みたいだし、話してみたらどうかしら?』

「それで?」



ダザイの催促にアツシはぽつりぽつりと話し始めた。



「…うちの孤児院は、あの虎にぶっ壊されたんです。

畑も荒らされ倉も吹き飛ばされて──死人こそ出なかったけど、貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって、

口減らしに追い出された…。」

「…そりゃ災難だったね。」

『それであんなに焦っていたのね。』

「それで小僧、殺されかけたと云うのは?」

「あの人食い虎──孤児院で畑の大根食ってりゃいいのに、ここまで僕を追いかけてきたんだ!

あいつ僕を追って街まで降りてきたんだ!

空腹で頭は朦朧とするし、どこをどう逃げたのか」



時々記憶が無いということ?

口減らしで院から追い出すのも実際あまりない話、とダザイは云っていた。

まぁ、ダザイが何とかするでしょう。



「それ、いつの話?」

「院を出たのが2週間前、川であいつを見たのが──4日前。」

「確かに虎の被害は2週間前からこっちに集中している。
それに4日前に鶴見川で虎の目撃証言もある。」



ふむ、とダザイは少し考えて



「敦君、これから暇?ついでにAも。」

『え、私も?』

「…猛烈に嫌な予感がするのですが。」

「君が人食い虎に狙われてるなら好都合だよね。

虎探しを、手伝ってくれないかな。」



何かを企んでいる、いい笑顔だ。



「い、いい嫌ですよ!それってつまり餌じゃないですか!誰がそんな」

「報酬出るよ。」



現在無一文の彼は報酬に飛び付いた──



「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に。」

「おい、三人で捕まえる気か?お前ら2人はともかくAは女だぞ。まずは情報の裏を取って──」

「いいから。あと、Aは頼りになるんだよ。」

「ち、ちなみに報酬はいかほど?」

『成程、確かにそれは大事な質問ね。無一文のアツシにとっては。』

「こんくらい。」



紙を見て驚愕したアツシは矢張り飛び付いた──

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作者名:愛麗愛 | 作成日時:2019年11月13日 23時

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