方言系ウツボ男子─Another─ (ページ10)

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女の子って大変だね(月のアレネタ込み) ページ10

(月モノの話が苦手な人はおすすめしません)

その日の監督生の機嫌はすこぶる悪かった。
今回は何時にもまして酷いのだ。
ドロッとした感覚に、まるで子宮が潰されているかのような圧迫感。
心なしか頭も痛いし、何よりも倦怠感が体に容赦なくのしかかってくる。

なのに、なのに、だ。

「オレ様、もっと沢山食べたいんだゾ！
おい子分！取ってくるんだゾ！！」

「だから、自分で行けばいいじゃん。
グリムの分なんだから」

つい冷たく当たってしまうが仕方がないことだと思う。
しかしここにいる男どもに私の思いなどは伝わらず、怪訝そうに私を見つめる。

「なんか、今日機嫌悪いな。
どうしたんだ？」

「それにちょーっとぐらいとってやってもいいんじゃねーの？
グリムの手だとやりにくいだろ」

魔法はなんの為にあるんだ、おい。

口が悪くなるがこれは大目に見てほしい。
それほどまでに今回は重いのだ。

因みに今日、Aは朝からオクタヴィネルの三人と何かと用事があったらしく見ていない。
……Aも何かと無神経な所がなくもないし、居なくて正解だったかも……？

こんな失礼な事を考えているのも仕方がない。

キリキリと痛むお腹を気遣いつつ、無駄に長ったらしい廊下を歩いていく。

つい先程の授業が終わった後、エースやデュースにオレンジジュースを渡されたときにキレてしまったのだ。

ありえない、真面目にありえない。

お腹痛いって言ってんのにそれで察せないのも冷たい飲み物を渡すのも。

男子校だから、と甘く見ていたがこれは酷い。

申し訳なく思う反面で胸に募るイライラは止まらない。

はあ、とため息を一つついたところで聞き覚えのある声が耳をくすぐった。

「あれぇ、ユウやん。あの阿呆トリオはどないしたん？」

オクタヴィネルの寮服が様になっている彼、A・ラヴァーズ──もとい、A・リーチがそこにはいた。

きょとん、と首を傾げた彼のターコイズブルーの髪は揺れ、まるで海のようで。
フロイド先輩と同じ色の配置をした瞳が不思議そうに瞬いた。

「別に、何でもないから」

その言葉にAが口を開こうとする前に、大きな二つの陰がぬっと彼の後ろから現れる。

「あ、小エビちゃんじゃ〜ん」

「Aと何を話していたんです？」

なぜか私はこの二人に警戒されている。

多分……というより確実に可愛い弟を取られたくない一身でだ。

とんだブラコンだな、と前に苦笑したのを覚えている。