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奇妙な夢から目が覚めるように俺はばっと起き上がる。
じっとりと滲んだ脂汗が、「それは夢じゃない」と俺に訴えかけているようだった。
「……止めないと、」
あの結末を、変えないと。
▷
「はあ？アザラシちゃんがオレ達を？
んなわけねーじゃん。バカにしてんの？」
「おやおや、困りましたねぇ……僕達も暇ではないんですが」
言わないと。
「俺らが殺されるのか、そういうのブラックジョークでもやめてくんない？」
「趣味が悪いんじゃないか？A」
言わないと。
「えっ？グリムが？
………うーん、私にはちょっと信じられないかなぁ……」
「俺様がそんなことすると思ってるんだゾ？！」
駄目だ、このままじゃ、だめなのに。
フラッシュバックするあの光景に、うっと吐き出してしまいそうになるくらいの気持ち悪さを覚える。
でも、どんなにいっても。
「きっと悪い夢でも見てたんだよ」
どんなに伝えても。
「最近忙しかったもんなぁ」
「ちゃんと休んだほうがいい」
どんなに泣いても。
「ねぇ、いい加減うざいんだけど？
Aってこんなにしつこかったっけぇ？
オレ、飽きてきたぁ」
「まあまあ、フロイド、そんなこと仰らずに。きっともう暫く経てば治っていますよ、きっと」
どんなに、守りたくても。
目の前で繰り広げられた惨事は、これで✗✗回目。
「……だから、言ったのに」
地べたに転がってしまった“それら”を俺は見下ろした。
「生憎だけど、俺の戦場は、もうここにはない」
「っ、貴方、まさかっ………！」
ジェイ兄のハッとした声も、他生徒の悲鳴も俺には関係がなくなったのだ。
双眸を黄色に瞬かせて、俺は向かう。
「A！待ちなさい！そのユニーク魔法は─────！！」
俺は何度でも繰り返す。
俺が望む、彼らとの最後を描くため。
守りたいものを守るため。
そのすべてを叶えるためなら、
(永遠の迷路に閉じ込められても、構わない)
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作者名：青の柘榴石 | 作成日時：2020年10月14日 21時
