配信 ページ1
Aside
「.......黄色い厄介」
とある方のライブのDVD。やっとの思いで手に入れたそれの中にそんな言葉が出てきた。彼女が黄色い厄介だなんてとんでもない。あんなの可愛いもの。彼女が黄色い厄介だと言うのならば、きっとこいつはさながら足枷。黄色い足枷。
「んー?なんか言ったぁ?」
「何にも何にも、ハイハイおやすみ」
私の膝で眠そうな声でそう呟く彼を窘めるように頭をポンポンと撫でて寝かしつける。一瞬不服そうな顔をうかべたが、すぐに目を閉じた。
「.......ほんと、こんなん可愛いもんよ」
なんて言いながらちらりと本物の黄色い厄介に目をやる。このライブだって男だらけのところに行かせてなんてやるもんかと拒否られ、円盤が出るまで待つことになるし、彼のライブだって何が起こるかわからない。最近は男リスナーだっているんだと関係者席にしか入れて貰えないし。関係者席見にくいから嫌なんだよね。─────まぁ、体よくいえば過保護ってやつだろう。
「……センラ、センラ」
時計が12時を刺す少し前。ぽんぽんと彼を叩くとんん、と眠そうな声が帰ってくる。
「放送やるんでしょ、起きて。」
そう言うと眉間に皺を寄せ、唸りながら起き上がる彼。そんな彼を横目に見ながら目の前のカフェオレを飲もうと手に取ると、彼の手が重なり引っ張られる。
「うわ、激甘」
うげー、とでも言いたげに顔を顰める彼。
「勝手に飲んだくせに何その言い草!てか、もう残り少ないんだけど!」
そう抗議の声を零すと彼はにへらと笑ってぽんぽんと私の頭を叩いてご機嫌取り。ほんと、そういうとこよ。
「ちょっとだけやってくるわ。先寝んといてな」
さらりと私の頬に触れ、そう釘を刺す彼に返事の代わりにじとりと視線を向けるとからからと笑い防音室に消えて行った。そんな彼の後ろ姿を見ながら誰かさんが激甘と言ったカフェオレを一気に飲み干す。適当にそのカップを洗い、拭いてから食器入れの食器たちに重ねる。バンッ、と思ったよりも閉めた音が辺りに響いてしまい肩を跳ね上がらせると煩い、という通知。こんな音さえ拾ってしまうなんて防音室の意味ある?という文をガーッと消していき、ごめんて、と返信してから彼の配信を見ると家鳴りやばー、とか言ってる。
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潮田 陽菜(プロフ) - senkun1003さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました😊何度も読み返すほど気に入って頂けてとても嬉しいです(_ _*))こちらこそ素敵なコメントありがとうございます(*ˊᵕˋ*) (2022年11月16日 12時) (レス) @page48 id: 68f958ed6b (このIDを非表示/違反報告)
senkun1003(プロフ) - 潮田 陽菜さん» リクエスト答えて下さりありがとうございます😭凄い好みで何度も読み返してます😭素敵な作品をありがとうございます😭 (2022年11月15日 23時) (レス) id: 354fb7ca1c (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - senkun1003さん» コメントありがとうございます!!3次元に近い感じをイメージして書いてたので汲み取って頂けてとても嬉しいです(*^^*)リクエストありがとうございます!是非書かせて頂きますね!! (2022年11月14日 9時) (レス) id: 68f958ed6b (このIDを非表示/違反報告)
senkun1003(プロフ) - 思いました! すみません、書きたいこと沢山になってしまい長文失礼致しました。可能でしたらリクエストの方よろしくお願いします! (2022年11月14日 2時) (レス) id: 354fb7ca1c (このIDを非表示/違反報告)
senkun1003(プロフ) - (センラさんが遠征で居なくて寂しかった時の上着をぎゅってしてるところとかからそういうイメージを持ったので)で、そんな夢主にあまり得意では無いサプライズを計画して1日沢山笑わせて甘々してくれるセンラさんを見て、もっと甘えてええんやでって言われたいなぁと (2022年11月14日 2時) (レス) id: 354fb7ca1c (このIDを非表示/違反報告)
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