公式LiNEはいりません！【sm】 (ページ3)

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｢志麻さん！公式LiNEなんていりません！！！｣

時が来るのは早いもので、あっという間に当日。何人もの握手が終わるのを待ち、彼にそう吐き捨てポケットに忍ばせておいたメモを突き出す。最初不思議そうにしていた彼はそれを見てやっと思い出したようで嗚呼、と納得したような声を出した。

｢えぇ？‪いらんのー？‪｣

変なことを述べているにも関わらず手を出し握手を求める私がおかしいのかそれ以外が可笑しいのか、半笑いを浮かべる彼の言葉に少し考えた。いや、いるじゃん。メモとか暇な時に適当にLINEしてみたり帰ってこないと思っていた単語に返信が帰ってきて悶えたりしたじゃん。あれをなしになんて出来ないじゃん……？

｢いらんことはないですけど！！！！！｣

そう叫んだ私に失笑する彼。けらけらと笑いながら彼が突然私の手に添えていた手を離し、こちらに伸ばしてきた。なんだなんだと身構えるとその手が私の肩に触れて引き寄せられた。

｢分かった。今度は本物あげるから裏口で待ってて｣

｢え？｣

そんな彼の低く心地良い声が耳元で聞こえてきて思わず素っ頓狂な声が零れた。

｢またね、Aちゃん｣

そう言われ温かさが手から離れていった。ふらふらと出口に向かって歩きながらふと疑問が浮かび上がってきた。

あれ、私志麻さんに名前教えたっけ?