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「なんで、そんな冷静でいられるんですか?」
焦ると、脳と口が直結するらしい。思い浮かんだ言葉がそのまま飛び出た。
「……まぁ、焦ったところでどうにもならんし」
そんな言葉と共に同意の視線を向けられて、確かにとなんだか落ち着いてしまった。
「そうですね、焦ってもどうにもならない」
自分に言い聞かせるように同意の言葉を述べると続く沈黙。落ち着いたように思えたけどやっぱり少しばかり焦りが募る。どうする?どうすれば鎮火する?
「志麻さん、」
「ん?」
私と同じように鎮火方法を考えていたのか顎の下に手を当てていた彼。そんな彼に向かってそっと口を開いた。
「もう、最後にしましょう」
サーっと冷たい風が頬を撫でた。きっと私は欲張りすぎた。
「何言って、」
「志麻さん」
彼の言葉を遮り、言葉を続けた。
「─────本物のLINEはもういりません。私、とても素敵な思い出をもらいましたから。これで終わりでいいんです。」
夢心地のまま呟き、彼に笑みを向けた。するとかえって来るのは肯定ではなく彼の鋭い瞳。そんな表情に驚き、後ずさると彼がぐっと近づいてきた。
「勝手に終わらせないで」
彼との距離が近すぎて、よく表情が見えない。
「離れた方がいいとか、そんなの知らない。あれのせいで辞めるって言うんなら俺はこんな立場捨てたって─────」
「ダメ!!それはダメ!」
きっと衝動的に出た言葉だっていうのはわかる。それでも、嘘でも。そうじゃなくても。今までつくりあげてきた彼を、志麻さんを否定して欲しくなかった。
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