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Aside
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何度か食事を交わすようになり、段々と彼の口調が砕けて行った頃、突然彼が神妙そうな面持ちで問いかけてきた。
「そういえばずっと聞くの忘れてたんやけどAちゃんって20超えてる?」
そう聞いたあとじっくりと私を下から上まで見てくる隣の彼にぺしっ、と近くにあった手を叩いた。
「失礼な。とっくに成人してます」
「なら安心したわ〜」
ほっとしたように笑みを浮かべそう言ってみせる彼を不思議に思いつつ目の前の水を1口飲むと彼が内緒話をするようにぐっと体を近づけてきた。大体これは次はどこの店に行こうかというお誘い兼相談。
「ね。たまには居酒屋とかどう?」
突然のその言葉にパチリと目を瞬いた。確かに高いお店に連れていかれたことは何度もあるけどそこでお酒を交わすことはなかった。よく考えたらお酒好きの彼からしたら不自然な行動だ。────私の事、未成年だと思ってたのか。と、それらしい理由が浮かび彼をジト目で見つつため息を抑えた。まぁ、気を使ってくれていたのならそれもそれで彼の優しさってことにしてあげよう。
「いいですよ」
了承の言葉一つパッと零すと彼にたちまち笑顔が咲く。そんな様子にピシャリと言ってみせた。
「但し!酔いつぶれるほど飲んだら他人のフリしますからね!」
いくら推しでもこんな体格差のある人の介抱なんてゴメンだ。
「はーい」
適当な返事の彼にもうお酒に酔ってるのか?とちらりと手元を見たが相変わらず減らない水の注がれたコップが置かれていただけだった。
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