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まふまふside
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天気の良い昼下がり。猫たちが窓辺で微睡む中、昨日買った花を持って外に出た。そして、そっとその花を彼女の部屋の前に置く。それから外へ出て彼女の姿を探した。
「Aさん」
彼女の姿を見つけ、後ろからそう声をかけると彼女は僕の顔を見てから眉をひそめる。そんな彼女ににっこりと笑顔を返すと彼女はゆっくり1歩後ずさった。
『……相川さん、お願いです近づかないでください』
片手を前に出して近づかないでアピールをしながらそう言う彼女はじりじりと後ずさっていく。
「別にいいじゃないですか。やましい事がある訳じゃないんですし」
今すぐ逃げ出したい、というような表情を浮かべる彼女に向かって白々しい言葉を投げかける。すると、彼女は何か言いたそうに口を開いたがすぐに閉じる。その口が開かれた時は既に彼女は僕に背を向けていた。
『……私、急いでるので!お先に失礼しますね!』
そう言い全力で駆け出す彼女。いつものように世間話をして終わるからエレベーターであとを追いかければいいと思っていたのに想像とは違う行動を取った彼女の背中を慌てて追いかけた。けど、すぐにその背中は見えなくなった。途中でエレベーターが目に入ったけれど上層階へと向かっていたエレベーターを待つより自分の足を動かした方が早そうだった。……まぁ、どっちもどっちかもしれないけど。
「……っ、Aさん……!」
やっとの思いで彼女に追いつき、強ばっている背中にまだ整わない乱れた息で彼女の名前を投げかけた。すると、小さな肩がビクリと震える。そして、弾かれたようにこちらを振り向いた彼女は恐怖と困惑が入り交じったような表情を浮かべていた。そんな彼女を見つめながら乱れた息を整えて口を開いた。
「僕のせいで色々と迷惑かけてしまってすみません。なるべく近づかない方がいいのも分かってます。でも、」
近くにいないと、守れないので なんて言葉を添える。そんな言葉を吐きながら白々しい、なんて冷静に考える自分がいた。本当は迷惑の張本人は自分自身なのに。
「暇なんですか」
呆れたように笑う彼女が零した言葉にそうかもしれないです、と相槌1つ。彼女の手にある彼岸花をちらりと盗み見てからゆっくりと部屋に戻った。
彼岸花の花言葉
想うのはあなた1人
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潮田 陽菜(プロフ) - まぬんさん» 本編の方も読んで頂きありがとうございますm(*_ _)mまさかと思って頂けて幸いです!!そらるさんverの制作予定は今のところないのですが頑張ってみます!リクエストありがとうございました!! (2020年7月8日 13時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
まぬん(プロフ) - 本編の方(完結した方)読ませて頂きました!!最後の展開が「まさかの?!」的な感じでゾクゾクしました、、!よければこのそらるさんverが見たいです…! (2020年7月7日 23時) (レス) id: d24847e3a9 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - はっかさん» Another storyも読んで頂いてありがとうございます(><)綺麗だなんて本当に恐れ多いですがそう言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますので何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年6月30日 13時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - 新作ありがとうございます〜!!まさかのAnotherstoryが読めるなんて!!!嬉しい限りです!!やっぱり潮田さんの文めちゃくちゃ綺麗で思わずお話にのめり込んでしまう・・・。くれぐれもご無理はなさらず更新頑張ってください〜!応援してます! (2020年6月29日 20時) (レス) id: ab76ab0808 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - あかりさん» 好きだと言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます(><)まだまだヤンデレは勉強中ですがそう言っていただけて嬉しいです。更新頑張りますので何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年6月29日 20時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
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