＊ ページ19
まふまふside
Aちゃんが帰ってくのがあまりにも遅く、学校に迎えに行こうとAちゃんの通る通学路をそらるさんと通っていると、包丁を手にした男と血の気が引いているAちゃんが見えた。
「Aちゃん…！」
考えるよりも体が先に動いた。早く、Aちゃんを助けたかった。
『まふさん…』
虚ろな目で僕の名前を呼ぶ彼女。きっと、その言葉は無意識のうちに出たものだろう。Aちゃんの頬を見ると、包丁でも掠れたのか血が滲んでいる。それを見つめ、そっと手で拭った。
「Aちゃん…」
思わず、抱きしめた。すると、Aちゃんも縋るように抱き締め返してくれる。それが、嬉しくて。でも、こんな目に遭わせてしまったのが悲しくて。もっと強くぎゅっと抱きしめた。そして、子供みたいに、あの日みたいに声を上げて泣き始めたAちゃん。その背中をそっと撫でて続けた。
「…はぁ」
そらるさんはそんな僕ら見つめ、呆れたように、でも笑顔を浮かべながらため息をつき、警察に連絡をしていた。警察の人が着いたあと、犯人は逮捕された。そして、警察の人は僕らに頭を下げてお礼を言う。
「Aちゃん…？」
ずっと僕に抱きついたままだった彼女に呼びかけた。反応はなく、返ってきたのは規則正しい寝息。泣き疲れてしまったのか寝てしまったAちゃん。首に手を回されているのでおんぶしようにもできない。僕は、そっと、Aちゃんを抱き上げた。その…世にいう姫抱きってやつですね。正直言ってものすごく恥ずかしい。
「え、ちょ、そらるさん写真撮らないで」
パシャパシャとシャッター音が聞こえ、隣を見ると真顔で僕をとってるそらるさん。
「よし、弱みゲット」
そらるさんがスマホを口元に持ってきて、ニッと笑った。うわ、どんな時に使われるのそれ、なんて思いながら血の気が引いていくのがわかる。
「怒りますよ！そらるさん！」
「おー、怖い怖い」
僕が人目を気にせずそう叫ぶと両手を軽くあげ、棒読み気味にそう言いながら僕に背を向け歩いていく。僕はそんな彼にしかめっ面を向けつつもついて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
潮田 陽菜(プロフ) - ちょこ２（パソコン変わりました≪元ID ５ad0b4ef6a≫））さん» 楽しんで頂けたようで幸いです😊その後のお話が欲しいと言って頂けて大変嬉しいのですが個人的にはここで完結させておくべきだと私的には思っているのでその後のお話は期待しないでいてほしいです。お気持ちはとても嬉しかったです。ありがとうございます😊 (5月29日 11時) (
レス) id: 68f958ed6b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ２（パソコン変わりました≪元ID ５ad0b4ef6a≫）） - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (5月24日 21時) (レス) id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - 音恋&五月雨さん» そう言っていただけて嬉しいですヽ(*´∀｀)ノありがとうございます。これからも頑張りますので何卒宜しくお願いします(*_ _) (2018年7月13日 22時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
音恋&五月雨 - まふくんに改めて惚れちゃう作品でした！これからも頑張ってください(*´∀｀*) (2018年7月8日 22時) (レス) id: 9a55362602 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - りあさん» そう言っていただけて嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします(〃・д・) -д-))ﾍﾟｺﾘﾝ (2018年6月16日 16時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
