【暗殺教室】赤羽業(官僚)×プロポーズ

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これは、友人に捧げた誕生日プレゼントです。
載せなよ！と背中を蹴るように押してもらったので載せました。
よければ、暇な時に読んで下さい。

※7年後設定
※夢主はどの小説の夢主でも無いです
※自己満足小説でもあります
※基本、カルマと夢主だけです。

『おかえり』
「……ただいま」
眠そうな声で挨拶する業を見て思わずため息をつきそうになったのをぐっと堪えた。
時刻は午前6時。官僚になったばかりの業は大変忙しいらしく、仕事の量が半端じゃないらしい。しかも出勤は午前8時。どう考えても疲れが取れるわけ無い。
見るからに疲れているのに、私を頼ってくれないのは思っていた以上に寂しいものだった。
たまに友人から聞く「彼氏が部屋を片付けない」とか、「喧嘩した」など、様々な体験を耳にするが、どれもこれも羨ましいと思うしかなかった。
部屋を片付けないのなら私がすればいい。でも業の部屋は必要最低限のものばかりで片付けるものが無い。同棲しているわけではないので、私の荷物もあまり無いのでよく言えばシンプルな部屋だ。
同棲してないのに何故私が業の家にいるか。理由は簡単である。
食生活が心配
業は器用だから自分の食事くらい作れると思うけれど、簡単に済ませてしまうから怖いのだ。
1週間私がここに来なかった時、「何食べた？」という質問に対して「たまにカップメンとかうどん食べてた」と、簡単に作れるものばかり食べていたようで眩暈がしたのを覚えている。
だから、業の食生活を正すために私が唯一任されたのが食事だ。
2日に一回きて、作り置きしておく。大抵は全部食べてくれているから嬉しい。作りがいがあるってもんだ。
さて、次に喧嘩。喧嘩をしたのはいつだっけ…と思い出そうとしたが、覚えているので2年前。逆に心配になる。
会話をするのかと聞かれたら、曖昧に笑うしかない。
さっきのように挨拶はするけど、その後業は死ぬようにして寝てしまうから喋れない。喋りたいと思っていても身を引いてしまう。
「え、別れたら？」
『うぐっ』
今までの話をカフェで目の前の昔からの友人に話した結果、塩対応だった。
あっさり言いやがって…！と思ったけれど、どこか納得しそうな自分がいて嫌だった。
「だって、そんなのしんどいだけじゃん。他の男見つけなって！」
『誰がしんどいの』
「あんたですー」
しんどくは無いよ！と反論するが、辛いでしょ？と言われたら言い返せなかった。
辛いというか寂しいというか。時間が無いのはわかるけど、もうそこし時間がほしい。話せる時間が。
業は愚痴も言わないからもっと心配だった。官僚はストレスが溜まりやすいといろんな人から聞いたから、余計にだ。
『……潮時かなぁ』
自嘲気味に笑う私を見てどこか申し訳なさそうな表情を浮かべる友人に、とりあえず笑っておいた。
カフェから立ち去ろうとした時、友人に可愛らしいラッピングがされたプレゼントを渡されて、頭にはてなを浮かべる。
「あれ？今日誕生日じゃなかったっけ？」
『……忘れてた』
プレゼントを受け取って感謝の気持ちを述べる。そして業の家へと向かった。
そうか、そういえば今日は私の誕生日か。
業と付き合って今年で5年目だった。随分長い付き合いだと思う。
だから結婚も視野に入れてたし、人生を共にするならこの人がいいと思っていた。
でも……
『誕生日ってのが嫌だけどしょうがないよねー』
きっと忘れている。だったら調度いい。私は彼が帰ってくるのを、食事を作りながら待った。

「ただいま」
『おかえりー』
笑みを浮かべて玄関へと向かう。珍しく今日は早かった。なんでこういう日に限って？と思ったが、しょうがない。こういう日もあるとしか思うしかない。
そこでふと、業の荷物が多いことに気がついた。とりあえず受け取ろうとすると「いいよ」と避けられる。
普段は気にしなかったことなのに、昼間に言われた言葉のせいで妙に気にしてしまった。
テキパキと動く業をみていたら自分はいらないんじゃないかって思ってしまう。駄目だ、ネガティブ退散！
夕飯を机に並べていると、洗面所で手を洗って帰ってきた業が思い切り顔を顰めた。その表情に思わず肩を揺らす。
「なにしてんの」
『夕飯の準備だけど？』
「俺やるから座ってなよ」
『いや、これくら私やるから』
「俺の夕飯でしょ。自分でやるよ」
その言葉はもしかしたら私を気遣っての言葉だったのかもしれない。
けど、今の私の心情からしたら何もかも否定されているような気がした。
『……いじゃん』
「ん？」
『私要らないじゃん！必要ないじゃんか！！』
「は？何言ってんの」
眉を顰めて私を見る業をみて思わず口を噤みそうになったが、私はもう一度口を開いた。
どうなっても良い、ただぶちまけてやりたかった。
『業って愚痴も言わないよね、それが心配なの！私ってそんなに信用ないかな！？頼ることもできないくらい弱いかな！？今もさ、唯一の私の仕事奪おうとするし！』
バンッと机を思い切り叩いた。並べた夕飯が少しゆれるがこぼれなかったから別に良いだろう。
きっと冷めている夕飯、いつから温かいものを一緒に食べてないっけ？
『寂しいの！官僚って職業が大変だから我侭は言わないよ！本当のこといえば、もっと話したいし一緒に居たいよ！でもそれよりも業の我侭を聞きたい！いつも大変で疲れてるんだから私の前でくらいダラっとした姿見せてよ！！』
何言ってんだよって思われるかもしれない。それでいいから、聞いてほしい。
恋人らしいことをしたい、デートに行きたい、お話ししたい。やりたいことはたくさんあるけれど、まずは気を許して。私の前では本心をさらけ出してほしい。
私の隣が一番楽だって言って貰えるような場所を作りたかった。
でも私には無理だった。なら、この役目は違う誰かにやってもらいたい。
そう簡単に譲りたくなんかないけれど、このストレスが溜まる環境の中で少しでも楽になるなら私は良いから。
私が肩で息をしていると、ずっと黙って聞いていた業が私を見て静かに息を吐いた。
呆れられた。でも言いたいことは言ったしスッキリしたから悔いはない。
「…本当はどっか出掛けようと思ってたんだよね」
突然のなぞの告白に私は首をかしげる。視線をそらして私を見ようとしない業に少し高校時代を思い出すが、まぁ置いておこう。
時計を見ると午後8時。流石にこれ以上大声で会話するのはよろしくない。近所迷惑だし、追い出されたら溜まったもんじゃないしね。
「今日誕生日じゃん」
『……覚えてたんだ』
「そりゃね。5年も一緒の彼女の誕生日なんてすぐ覚えるに決まってんじゃん」
当然のように言うから少し拍子抜けしてしまった。てっきり今年は覚えてないかと思ってたのに。
その事実に驚いていると、さらに爆弾が投下された。
「プロポーズするつもりだったんだけど」
『は？』
「いや、は？て反応はないでしょ。もうちょっと何かないの？」
『いや、ごめん。ちょっと驚きすぎて』
サラッと言ったよこの人。プロポーズするつもりとか普通言いますか？言わないと思う。絶対に黙っていると思う。
私が困惑していると、業が私の目の前に立った。
久しぶりのこんなに近づいたので少し緊張して離れようとするとがっちりと腰を捕まえられた。待って聞いてない。
「確かに仕事忙しいけど愚痴を言わないのは、そっちもだから」
『……』
「自分も仕事の愚痴とか言わないじゃん。だったら俺も言わない」
『…無いんだから仕方ないでしょ』
「ん、それでも言わない。てか限界がくるならさっさと電話してるよ。まだ大丈夫だから言わないだけ。」
そんなこと言われたら何も言えなくなってしまう。
言い澱んでいると、業が私の体を自分のほうへと寄せた。久しぶりの体温に少しほっとする。安心感と幸福感が混ざり合って心が温かかった。
「俺が一番辛いのは、家に帰ったら誰も居なかったとき」
首元に顔をうずめられることで、髪が首元や頬に当たってくすぐったい。
その状態で「すっげー寂しい」と耳元で呟かれて肩が跳ねた。
ドクンドクンと心臓の音が聞こえている気がする。今、このタイミングでこの言葉はズルイと思うのだが。
『そ、その寂しいって感情は、私にもあったよ！』
「うん、わかってる。だからお互い精神面で支えあって行くためにも一緒に暮らさない？」
『……同棲ってこと？』
キョトンとして尋ねると、違うと首を横に振られた。じゃあ何。シェアハウスとでも言えばいいのか？何て言えばいいんだよ。
その時、私を抱きしめる力が強くなった。
ゆっくりと私も彼の背中に手を回す。
「さっきプロポーズするって言ったよね？」
『言ったね』
「察してよ」
『察しません』
「察してるじゃん」
『…ちゃんと言葉で聞きたい』
ボソリと呟けば、一度体が離れた。そして一瞬だけ触れるキスを落とされる。
「これからも寂しい思いをさせるかもしれないけど、それ以上に幸せだって言わせるから俺と結婚してよ」
予想外のプロポーズに私は思わず噴出してしまった。なにそれ、殺し文句にしか聞こえないよ。
噴出したのが駄目だったのか拗ねた様に私の肩に頭を押し付けてくる業の頭を軽く撫でながら私は笑った
『うん、お願いします』

幸せは歩いてこない。だから一緒に幸せの元へ行こう

「これ誕生日プレゼントでいい？」
『いいよ、十分すぎる。』
「じゃあ、主役は座っときなよ。ケーキ切るから」
『あのでかいのはケーキだったのか』
「そ、だから夕飯の準備も俺がしてケーキだしたかったのに」
『言葉が足りません』
「サプライズ」
『……サプライズとは』
「とにかく、ケーキとって来る」
『ああ、待って！…ゴホン……主役命令です。もう少し私の隣にいなさい』
「……可愛いこといきなり言うのやめない？」

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