貴方と一緒にいきましょう【荼毘】 (ページ14)

今日:15 hit、昨日:2 hit、合計:19,671 hit

47話ページ14

「そうですね、あの子の過去は一旦やめにしますね。」

「改めまして荼毘さん、貴方、A事が好きでしょう」

「は？」

自分の口から随分間抜けな声が出た。
そりゃA事は好きだ。だかこんな容易く分かるものだろうか。否、そんなはずは無い。

「……あー、いや……少し個性を使用しまして…好意の色が見えたんですよね。」

「まぁとりあえず、荼毘さんはAのことが好きなんですよね。Aも荼毘さんの事が好きです。」

？？？？？？？？？？？？？？？？？？

「いやー顔見ると分かるものなんですよね。恋してるんだって、」

「いいわねぇ〜甘酢っぱい恋って。やっぱ何時になっても憧れるわねぇ……」

この男と女は、はぁ……とため息をつきながらペラペラと話し出した。

その為だけに連れて来たのだったら、意味がわからない。俺の詳細を知って言っているのだとしたら、尚更。

「とりあえずです！ A事を幸せに出来るのであれば！私達は喜んで手配しますよ！！」

「ええ！可愛い娘の為にも！！私達は身を引きますよ！！」

「「どうですか！！！」」

と目を輝かせ、大声で勢いよく手を握って来た。

「俺にその資格は無ェに決まって「いいえ！好きなのであれば資格はあります！」

無ェっつってんだろ、イカれてンのか。」

つい素が出てしまいそう言うと、コイツらは鳩が豆鉄砲食らったような、ポカンとした顔を向けた。

「イかれてますよ。そりゃあ大切な子の為ですし……」

「その為にも貴方をここに連れて来て、こうしてAの事を任せて幸せになって欲しいと言っているの、私達が勝手にね。」

私達は勝手なのよ。勝手にやって幸せになって欲しいって言ってるだけなの。

だからAの事を頼みたいんです。

真剣な眼差しで、握られていた手を強くした。

が、

「でも、貴方がするかしないは自由です。ですか後悔しない選択をオススメします。」

「後悔してからでは遅いですから」

真剣な声色に、さっき思いついたAを攫いたいという気持ちが溢れそうになる。

それを増幅させるように、渡されたのはある住所が書かれた紙。

まさかと思い、なんの紙だと問うと Aがいるアパートの住所だと言われた。

何故渡したのか、と言う暇もなく背中を押され、玄関に向かわせられる。