黒と白の念子Ⅴ (ページ3)

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203話ページ3

と、ナルニアとの話を全て聞き終えると、
私は、また一口お茶を飲み、頭と心を落ち着かせようとした。

今の話によると……
ナルニアはイルマ様の正体に気付いている……

アトリは、おそらく誰かに言われ、正体を知らずにとりあえず連れて行こうと言うことでイルマ様を狙っていたが……

もし、ナルニアが手を引いていたらアトリもイルマ様の正体を知っていてもおかしくはない……

つまり、アトリに指示していたものは別にいる……

だが、だとしても…だ……
ナルニアは何故イルマ様の正体を知っていて、
危険だと言ったのか……
ただ、人間だから。と言う理由なら、
カルエゴくんに危険だから近づくな。とは言わないだろう。
だって、危険なのはカルエゴくん達ではなく、イルマ様なのだから……

まさか……いや、だとしても……

私は考えが中々まとまらず、
確信のない考察を次々とうかばせる。

カルエゴ)い……おいっ……聞こえてるか？おいっ！A先輩っ！

名前を呼ばれハッと意識を戻す。

珍しく眉を下げ心配そうに私の顔を覗き込むカルエゴくんの顔をみて、少し頭の中が軽くなる。

A)失礼……少々考え事に集中してしまいました。

カルエゴ)私には何一つ分からなかった兄上の話だが、A先輩は何か分かったんですか？

A)いえ……ただ一つ言えるのは、アトリに関する細かな詳細を一才打ち明けずはぐらかすような事を述べると言うのは、アトリについて何か隠している事があると言う事……今後、私はお前の兄、ナルニアを敵なのかどうか分かるまでは、重要人物とし視野に入れて動きます。故に、身内だからと私の邪魔をした場合……その時はいくらお前でも私は容赦はしません事を、肝に銘じておきなさい。

そう言って私はカルエゴくんを見ると、
邪魔などしませんよ。と返事をしてくれた。

カルエゴ)前にも言いましたが、万が一バビルスならびに生徒に対し敵意があると判断した場合は、番犬として責務を全うし、身内であろうがその首を噛み千切ります。アトリについても、イルマについても今は何もわかりませんが、私はバビルスの番犬ですので

A)よろしい。では……話は以上です。あっ、少々お台所借りても？

カルエゴ)台所？良いが一体何をする気だ？

A)負け犬から番犬になったカルエゴくんへ私からの褒美を……

そう言って私は夕食を作り振る舞う。