手を取って【稲荷崎】 (ページ2)

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いつも通り何事なく日々は過ぎるもので
心だけが置いていかれた

親友の星はいつも通りに振舞ってくれる
彼女はそういうところが優しい

退部から3日ぐらいして
自分が使ってた時計をなくした事に気づいた

部活に使っていた安物のプラスチックの腕時計
いつも部活の時間に付けて思い入れのある物

無くすのはやだな…

放課後、心当たりのある所を見ても見つからなかった
部室、更衣室、グランド、倉庫…と探しても見つからず

最後の体育館前の使っていた水道に来て探しても見つからず、仕方ない諦めるか。と顔を上げた

「こんな所で何しとんの」

目の前に立つその金髪の彼、宮侑君はじっとこっちを見ている

その場に立ち上がり制服のスカートの埃をはらう

「腕時計落としたみたいなので、探してたんです」

最後心当たりここしか無いので…と零すと彼は「ふーん」と言った顔をした後に思い出したのか、ハッとした顔をしてはジャージのポケットを漁り出す

「それこれちゃうの？」

差し出された青いプラスチック製の薄汚れた腕時計
間違いなく、私のだ

「そうです。これ、どこで…」

受け取ると、彼はそこの水道で拾ったと言う

ありがとうございます。とお礼を言うと、どういたしましてと手を振られた