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第40話 醜悪 ページ6

胸くその悪い話です。お気をつけて。
____


「両親はもちろん探した。娘が居なくなったことに気づいたその時から。娘を探して回った。人付き合いが苦手で有名な父親があらゆる家の戸を叩いて、身体の弱い母親が滅多に出たことも無い町の外に出て」


だが見つからなかった。早朝から夕方にかけて、探して探して、呼んで、叫んで、ついには夜になっても見つからなかった。

結局まだ探すと聞かない両親だったが、身体の弱い母親が倒れてその日は眠りについた。


翌朝、血がへばりついた娘の着物と、その着物の上に置いてある娘の眼球が見つかった。


両親の、枕元に。


『…っっ』
「……酷い有様だったそうだよ、両親は泣き叫び、発狂を繰り返し、数日後には揃って首を吊った。」


Aが胸元を強く、強く握りしめる。

大切な人の、死の、痕跡____


「2人目は、それから数日経った後。全く同じ状況で、さらわれた翌日に血のへばりついた着物と、体の一部。」


2人目は、息子の手と足の爪全てが置かれていた。


3人目は、そう言って、言葉を濁らせる。

Aが善逸を見ないままに善逸の袖を引っ張るとふぅー、と息を吐いて口を開く。


「3人目の被害者は、子供ではなく父親だった」


Aの息が一瞬詰まる。


【鬼】【死】【死体】【血】【父親】


話に出てくる一つ一つの言葉が、Aにあの日を連想させる。


「…それ以降にも全く同じ手口で、人が亡くなっては遺族の元にその一部が送られてる。でも近くのどこを調べても死体のひとつも見当たらない。真新しく近くの土を掘り起こしたようなところもない」
『…食べ、られた…って、ことですか…』
「多分ね、それでお館様が数日前に鬼殺の隊士を送り込んだ…。


翌日に、村の門にその隊士の血まみれの着物と手足の指で作られたネックレスのようなものが飾られていた。」


『はっ…ぁっ…!』


Aが呼吸を乱す。血の気の去った青白い頬と涙の浮かんだ目に善逸が辛そうに眉を寄せてその背中を摩る。


「…鬼は残酷だ。自分の力に酷く酔う。どんな残虐にも、その中に悦楽を生んでしまう。


それでも本当に、一緒に来るの?」

『……行く、必ず…!お父さんの仇を、とらなくてはならない…!それに……』


Aが整わぬ息で、涙の滲む瞳で善逸を見る。それに善逸は不思議そうに首を傾ける。



『それに……』



そんな残虐非道な奴らに、醜悪極まりない奴らに、貴方1人を立ち向かわせられないから____。

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いーさん(プロフ) - 夜月悠さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!とっても嬉しいです!はい!頑張らせて頂きます!ありがとうございます! (2019年10月19日 15時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
夜月悠(プロフ) - 貴方の作品を見ていると、心揺さぶられます。文章を読んでいるだけなのに自然と感情移入してしまうほどの、文章を書く貴方は凄いです!長々と話してしまいそうなので…言いたいことだけ言いますね!!"無理せず更新頑張ってください!!応援してます!!"です!! (2019年10月19日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いーさん | 作成日時:2019年10月18日 22時

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