【鬼滅の刃】果ての希望

第8話 不協和音 ページ9

1人で任務に行かされて、あれよこれよという間にいつの間にか鬼が死んでいた。

本当にいつもなんで鬼は死んでいるんだ。俺が気絶したら鬼って死ぬもんなの？なんなの？

それでも生き残れたからまぁいいやって意気揚々に、蝶屋敷の子達にお土産でも買っていこうって帰ろうとしたら、鬼の音がした。


「うわぁああ、なんでだよ、なんでだよぉ、なんで気づいちゃうんだよぉ、でも気付いたからには俺がやらなきゃ、やらなきゃこの村の人達が…」


そう思って鬼のいる方向を恨みを込めて睨みつけていたら、音がより鮮明に聴こえてきた。


【辛い、苦しい、哀しい】
【ご主人様、帰りたい、どうか一緒に】


複雑怪奇に色々な感情が混ぜこまれた音。


でも、それより、何より


「人を喰った、音がしない」


人を喰った鬼と喰ってない鬼とでは音が違う。

それは普段の鬼と禰豆子ちゃんの音を比べれば明確だった。


あの鬼からは、喰ってはないけど、人を喰ってしまうかもしれない恐怖と戸惑いの音


そして、幸せが欠けた哀しさの音


「どうしたらあんなに優しくて、清らなかな音と、哀しみと憎悪が一緒に奏でられるんだろう」


相反する感情が、綺麗に分けられている。

それは大切なものと要らないものをきっちりわけるように。


けれど要らないものを捨てきれず抱え込んでいるような。


「行かなきゃ」


この音の持ち主の元に


「壊れてしまう、せっかく人を喰ってないのに、せっかく人であろうとしてるのに」


これ以上、負に飲み込まれてはいけない


「禰豆子ちゃんには踏み止めてくれる炭治郎がいた、この人にも必要なんだよ、そういう人が、1人でこんな音を抱え込むなんて、悲しすぎる」


気付いたら自然と涙が溢れて、足を早めていた。

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