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第6話 現実 ページ7

目が覚める。

一体何時間眠っていたのだろう。

あの日感じた殺意や飢餓感はほとんど綺麗に消えている。


やはり夢だったのだ。私がなにかわからぬものになったのも、旦那様が死んだのも…


そう思って、目を開けて絶望する。


あの日、さまよい込んだ家の天井が、眼前には広がっていた。


『…旦那様……』


ボロボロと涙が溢れる。

悲しい、苦しい…あの人の笑顔をもう見れないのが、あの人の温もりをもう感じられないのが。


あの人の声で、もう名前を呼ばれることがないことが。


『……水だけでも、飲もう』


あんなにあった空腹は不自然な程ないがそれでも結構か時間を寝たと思う。

水くらいは飲まなくては、そう思ってドアに手をかける


瞬間、ぞわりっと悪寒が走る


ダメだ、ダメ、今、開けたらダメだ。



陽の光を浴びたら、死んでしまう。



それは直感だった。ただの勘。でも、


不思議と、どこか確信めいた勘



『人を喰いたくて堪らなくて…日に当たっちゃったら死んじゃうってなんなの…』


ドアの前にうずくまって膝に顔を埋める。

本当に、人でなくなってしまったみたいだ。




夜になって、ドアを開けて絶句する。


あの日、旦那様が死んだ日、季節は真夏だったはずだ。それが、それが


『雪…真冬……』


しかも多分、その年のうちじゃない。木々の成長具合から、あの日から2年は経っている。


『そんなに何も食べなくて…生きてるの…?は、はは…本当に化け物だ…』


瞬く間に色んなことが、事実がわかる。頭がパンクしてしまいそうだ。

しかもその上


『寒さを微塵も感じない…!何なんだ、この体は、本当に…!』


突然わかることが多数あって、それを優に超える不可解。


何かが怖くて、恐ろしくて、Aはまたそこに蹲った。

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いーさん(プロフ) - 満月雪兎さん» すみません、返信遅くなりました。ありがとうございます!頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
満月雪兎(プロフ) - 『父を殺した者への復讐を誓う』というところが滝夜叉姫っぽくて好きです。更新頑張ってください! (2019年8月11日 12時) (レス) id: 5acf868e91 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!頑張らせていただきますね! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 甘空さん» コメントありがとうございます!そう言って貰えるととても嬉しいです!応援に応えられるよう頑張りますね!いえいえ!本当にありがとうございます! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 面白かったです。涙腺が崩壊しました。応援しています。頑張ってください。 (2019年8月8日 5時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いーさん | 作成日時:2019年6月4日 23時

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