第18話 涙と ページ19
重なる。
どうして、どうしてお母さんは死んだの？ねぇ、姉さん。お母さんは？お父さんは？
あの日、無力に泣く、自分と。
どうして、どうして姉さんが死ぬの…誰よりも優しくて…誰よりも幸せになるべき人だったのに。
あの日、哀れなまでに泣き喚く大切な子達と。
お父さぁん！！うわぁああん！！
あの日、何もかもをも失って虚無に陥った彼女に。
大きな幸せなんて…求めてなかった…。私はただ、お父さんと…囁かな幸せを、慎ましい幸せを…ただ、
明日を笑って_________
『明日を笑っていられたのに！』
溢れる涙は酷く綺麗だ。
鬼からこんな涙が溢れるなんて知らなかった。
だって鬼の涙なんて、死の間際の恐怖からくる涙と、死の間際に流す懺悔の涙しか知らない。
そんなもの流したって誰にも許されるはずないのに
鬼の涙は、なんて汚いのだろう、そう、思っていた。
『鬼になった私は、私の存在を否定されるほどの悪なのか！なりたくなんてなかった！当たり前だろう！誰が！
誰が誰よりも大切な人の、血を、肉を見て！涎を垂らす穢らわしい身体になりたいって思うんだ！』
鬼だって人です、人だったんです。
姉さんに似た少年が訴えた。
私が憎悪に支配されていると知ってて、それでも彼らだって人だったんです、と
でももう人じゃない、そう思って、そうですね、と返した。
私だって嘘まみれ、嘯いて、だまして、
鬼を嘘つきだと言う私の口には、嘘が溢れている。
あぁ、ダメだ。頭が痛い。
何が正しいの？ねぇ、姉さん。
貴方はカナヲに、選択の方法を遺したのに、私にはくれなかった。
私だって、コインひとつで決められたら、どんなに楽なのか。
「…そうすることを、甘えることを、私には許してくれなかった」
あぁ、本当に狡い。
貴方達は、死の間際に人の顔をする。
いつだって人の姿をしている。
重なる。重ねてしまう。
誰よりも護りたかった姉さんに。
必ず護ってみせると決めた彼女達に。
彼女のような思いをさせはしないと決めた、護るべき人達に。
怒らないでよ、泣かないでよ。苦しんでよ、苦しんでいてよ。
人みたいな感情を見せないでよ。
貴方達を、悪だって思わせてよ_________。
そうじゃないと、私達は、何が故に剣を振るうのだ。
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いーさん(プロフ) - 満月雪兎さん» すみません、返信遅くなりました。ありがとうございます！頑張りますね！ (2019年8月20日 19時) (
レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
満月雪兎(プロフ) - 『父を殺した者への復讐を誓う』というところが滝夜叉姫っぽくて好きです。更新頑張ってください！ (2019年8月11日 12時) (レス) id: 5acf868e91 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます！頑張らせていただきますね！ (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 甘空さん» コメントありがとうございます！そう言って貰えるととても嬉しいです！応援に応えられるよう頑張りますね！いえいえ！本当にありがとうございます！ (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 面白かったです。涙腺が崩壊しました。応援しています。頑張ってください。 (2019年8月8日 5時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いーさん | 作成日時：2019年6月4日 23時
