第15話 証明 ページ16
なお引き下がろうとしない善逸に、Aが袖を握り締めて笑いかける
その目には溢れんばかりの膜が張ってあって、今にもこぼれおちてしまいそうだ。
『ありがとう、善逸さん…。鬼になった私を信じてくれて…ここまで庇ってくれて』
「……そんな、そんな…ダメだよ、諦めちゃ、仇を討つんでしょ?その鬼が死ぬまで…」
『はい、死にません…貴方がここまで大切に思ってくれた命です。捨てようとは思いません。捨てられない。』
だから、そう言って善逸と対面するしのぶに向き合う
『私はどうしたら信じて貰えるでしょうか、私はどうしたら、』
生きてていいって、思ってもらえるのでしょうか_________
彼女は言い放った。さも当然のように。
きっと彼女は受け入れたのだろう。鬼が存在してはならないというこの世界を。
受け入れた上で、それでも生きたいと願ったのだろう。
生きていいという希望に、縋ろうとしているのだろう。
そんなの、そんなのいらないんだよ
善逸の瞳から涙が溢れる。
生きてていいって、思うことすら許されない人間なんていないんだよ、それは疑う余地なく思うものなんだよ、
そう思っていることに気づかないものであって、然るべきものなんだよ
当然で、わざわざ口に出すものではないくらいに。
「……貴方が、人を食べてないことと、人を食べないことを証明しないといけない」
『それはどうやったらわかるものなのでしょうか』
「現状不可能です。貴方をずっと見てきた人がいないこと、貴方が瀕死に陥った状況で人に出会ってないこと」
『瀕死って…証明できても助からないじゃないですか』
Aがそういうと、しのぶが本日何度目かの驚きを見せる。
だがすぐに平静に戻ると首に手を当てて口を開く
「…鬼は、頸を斬らないと死にません」
『え?』
「どんなに瀕死になっても、どんなに追い詰めても、鬼は、特別な刀で頸を斬らないと死にません。」
『でも瀕死にされたら私、あいつを殺せない』
「死なないというのは、死ねない訳ではありません。回復するんです。どんな怪我を負ったって」
『……えっ、』
突拍子のない話に、先程までの張り詰めるような空気も忘れて、Aが素っ頓狂な声を出す。
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いーさん(プロフ) - 満月雪兎さん» すみません、返信遅くなりました。ありがとうございます!頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
満月雪兎(プロフ) - 『父を殺した者への復讐を誓う』というところが滝夜叉姫っぽくて好きです。更新頑張ってください! (2019年8月11日 12時) (レス) id: 5acf868e91 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!頑張らせていただきますね! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 甘空さん» コメントありがとうございます!そう言って貰えるととても嬉しいです!応援に応えられるよう頑張りますね!いえいえ!本当にありがとうございます! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 面白かったです。涙腺が崩壊しました。応援しています。頑張ってください。 (2019年8月8日 5時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いーさん | 作成日時:2019年6月4日 23時