第14話 憐憫 ページ15
「感情的に、なっていませんか」
善逸が目を見てはっきりと告げた言葉に、しのぶが微笑みさえ消して善逸を見る
「弁えなさい」
重たい声が落とされる。
それに善逸は一瞬身体を強ばらせるが、それでも、とくいつく
「今、本当に感情的になってないって言えますか!?そんな憎しみの"音"を奏でて」
「我妻善逸」
善逸の言葉を遮って先程と変わらぬ言葉のトーンで告げる
黙りなさい、と。
「感情的になっていないか?そうですね、なっていないと言えば嘘になります。ですが、それは本当に私だけでしょうか」
「え?」
「それは君もでしょう。彼女から聞こえる"音"に同情して、護りたくて、殺したくなくて。それは、感情と言わずなんというのでしょうか」
あくまでも冷静に告げられる言葉に、善逸が唾を飲む。
そうだ、俺だって十分感情的だ。
可哀想だって思うのも、殺したくないって思うのも、全部感情から来るものじゃないか。
「でも、彼女が人を喰ってないっていう事実がある!」
「それは証明できないものです。鬼が人を喰う事実があり、人を殺させてはならないという大義がある」
「そんなの…!だって、」
善逸がAを見る。見て、哀しそうに眉を寄せて、再びしのぶを見る。
「だって、普通に生きてて、突然幸せを奪われて…辛くて苦しくて、そんな思いを、耐えることを強いられて、
彼女に、なんの罪があるって言うんですか」
「………」
Aが善逸を見る。
その目は心底哀しそうに、苦しそうに。
きっと、この女性は善逸さんより偉い人なのだろう。
そんな人に、こんな人一倍弱虫で、ビビりで、ヘタレな善逸さんが
ただ、私を助けたいがために、憐れむが故に。
「彼女が死ななきゃならない理由ってなんですか、殺すかもしれない、なんて、人間にすら当てはまるあやふやな根拠で、なんで彼女だけ死ななきゃならないんですか!」
「…っ埒が明かない。善逸くん、これは立派な隊律違反だってわかっているんですか?」
「わかってますよ!わかってる、わかってるけど!それでも」
『もう、いいですよ、』
ギュッと、Aが善逸の袖を握る
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いーさん(プロフ) - 満月雪兎さん» すみません、返信遅くなりました。ありがとうございます!頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
満月雪兎(プロフ) - 『父を殺した者への復讐を誓う』というところが滝夜叉姫っぽくて好きです。更新頑張ってください! (2019年8月11日 12時) (レス) id: 5acf868e91 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!頑張らせていただきますね! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 甘空さん» コメントありがとうございます!そう言って貰えるととても嬉しいです!応援に応えられるよう頑張りますね!いえいえ!本当にありがとうございます! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 面白かったです。涙腺が崩壊しました。応援しています。頑張ってください。 (2019年8月8日 5時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いーさん | 作成日時:2019年6月4日 23時