ハチミツイロ＿＿Reo (ページ20)

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Aside＿＿

家に帰ると、灯りが点いてない

お父さんもお母さんも忙しいから

こんなのはいつものことだけど。

鍵を開けて中に入って

リビングの電気を点けると

テーブルの上に置手紙があって

” 冷蔵庫に夕ご飯入ってます。母 ”

あ… 一回帰って来たんだ。

…もう高三なんだから

夕ご飯くらい自分でどうにか出来るのに

この間まで、また体調を崩して寝込んでて

まだ病み上がりのはずなのに…

きっと昨日の喧嘩のこと

気にしてるんだよね。

今日帰って来たら、ちゃんと謝ろう。

…そう思ってたのに。

お母さん、9時頃に帰って来て

すごく疲れてるみたいだった。

それなのにご飯用意してくれたんだ…

「お母さん、昨日はごめんなさい。
受験する大学のこと、ちゃんと考えるね。」

スーツを脱いでお風呂場に行く背中に

そう声をかけた

…けど、返事はない。

「夕ご飯、美味しかった。忙しいのにありがとう
お母さんも、もしお腹空いてたら私作るから…」

母「うるさい。疲れてるから話しかけないで」

バタン、と扉が閉まって

虚しい気持ちだけが残る。

…でも、ここで挫けたら仲直り出来ない。

家族だから、ちゃんと向き合わなきゃ、

そう思って、簡単なご飯だけ作って

テーブルに並べた。

もしお母さんが食べなくても

お父さんが帰って来たら食べるかも知れないし…

明日の分のお弁当の下準備をしていると

お母さんがお風呂から上がって来て

「あ、お母さん、ご飯作ったから、」

母「そんなのいらないから、受験勉強しなさい。
何度言ったら分かるの？疲れてるんだから、もう部屋から出て来ないで。」

「……はい」

部屋に戻って、携帯だけ持って家を出た。

今は家に居たくなかった。

行きたくもない大学のことを考える気にも

そのために勉強をする気にもなれなかった。

…何より、

お母さんに相手にされなかったことが悲しくて

家から歩いて

近くの公園のベンチに座った。

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