232話:逃げたい ページ9
貴方「っ……から…す…てん…」
烏天狗「話さないで……」
平安時代の習わしが有る。
男は文を出し、3度女の屋敷へ夜伽へ行く。
3度夜伽を終えたら、晴れて結婚。
女は夜伽を拒んではならない。
声を出して拒むことは、恥とされていたからだ。
室町時代にも、上級者の間で一部の習わしになっていた。
私の屋敷でも、その事は教えられた。
本当に、昔の話。
拒む術を知らない。
烏天狗が着物を脱がせて来る。
貴方「や…やだ……やめて…!」
外に聞こえる声は出せない。
恥になってしまう。
烏天狗は帯を器用に外して、
着物の中に手をすり込ませる。
身体がビクッと跳ねると、烏天狗は
「力を抜いて」と優しく言った。
肌襦袢だけになってしまった私は
どうにか逃れようと烏天狗を押し返して
部屋の壁際へと進む。
階段から落ちた時の足の捻挫で
歩くことが出来ずに、胸元を手で押さえ
もう片方の手で下半身を引きずる形だった。
烏天狗はそんな事お構い無しに
こちらへよってきて、
顕になった私の足を、スッと撫でる。
太腿をゆっくりと撫でて、
壁に手を付き、逃げられないようにする。
烏天狗が「君が悪いんだよ、勘違いさせるような事するから」と耳元で囁いた。
もう背中も足も痛い。
逃げ道も塞がれた。
烏天狗にされるがままになるしかないと
諦めた時、勢いよく襖が開いた。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時