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２６８話：応えないで ページ46
女郎蜘蛛「でもね、アンタだけは違った。土蜘蛛から偉い人だと聞いても、態度は変えないし、ずっと生意気だったって。」
貴方「なっ…」
女郎蜘蛛「おまけに、部屋にいてくれって頼めば、すぐに自分の部屋に戻ってたこともあったし、布団に入れって言っても中々入らなくて大変だったとか。ずーっと薬師部屋に来てはそんな事ばっかり話すのよ。」
貴方「なっ…なぁ……！！」
恥ずかしくて顔が熱くなってくる。
エンマさん、女郎蜘蛛にそんなこと言ってたんだ…
女郎蜘蛛「大変な女だって、ずっと言ってた。でも、その時の若君の顔…本当に幸せそうだったわ。」
貴方「…！」
女郎蜘蛛「アンタ、愛されていたのよ。心の底から。」
貴方「……エンマさん…」
女郎蜘蛛「だから…お願い……。カルラ達がアンタを想っていたとしても……、その気持ちには応えないで…。」
貴方「え…何で…知って………」
女郎蜘蛛「……そんなの、アンタの態度で丸わかりよ。………A、ドキドキしてるでしょう。」
貴方「！」
女郎蜘蛛「それはね、恋っていうの。アンタは“愛”しか知らなかった。…だから、今戸惑ってると思う。」
貴方「……恋…」
女郎蜘蛛「そう……。でも、覚えておいて…。Aは、エンマの若君のモノよ……。」
女郎蜘蛛が私の手を握った。
その手は少しだけ震えていて、
とても切なそうな顔をした。
女郎蜘蛛「だから………他の妖怪には…応えないで。」
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月25日 14時
