No.7 ページ9
___カモメの鳴き声が聞こえる。
騒動が終わった頃、あんなに酷かった嵐は嘘のように止み、私はすっかり静かになってしまった海をぼんやりと眺めていました。
「よォ、嬢ちゃん。大活躍だったみてぇだな。」
船長さんが葉巻を銜えながら私に近づいてきました。
「いえ、私はただ、偉そうに指示を出していただけですから…」
「バァカ。ああいった状況じゃあ、冷静な判断が出来て、正しく人を動かせる奴が偉いんだよ。」
だからもっと胸を張りやがれ。と云いながら船長さんは大きな手で私の頭をわしゃわしゃと撫でました。
何だか擽ったかったけれど、悪い気はしなかったので私はされるがままでした。
「何という無謀な!!下は激速の潮のうずで人魚さえ溺れるといわれる危険海流だというのに!!」
「オレ達が足をつかまえなかったらオメェまで海のモクズだぞこのボケ!!」
クラピカさんとレオリオさんのゴン君を叱る声が甲板に響きます。
「でも、つかんでくれたじゃん。」
しかし、あっけらかんとしているゴン君の様子に呆れたのか、はたまた敵わないと思ったのか、2人は目を見開いたあと苦笑して_
「…非礼を詫びよう。すまなかった、レオリオさん。」
「何だよ水くせえな。レオリオでいいよ、クラピカ。…オレの方もさっきの言葉は全面的に撤回させてもらう。」
あんなに険悪そうにだったのに、こんなにも簡単に和解するなんて…不思議な人達ですね、彼等。
何処ぞの素敵帽子さんと包帯無駄遣い装置の人も見習って欲しい__否、彼等が和解なんてした暁には、世界が吃驚した勢いでうっかり滅びちゃうことでしょう。
「キミも最後助けてくれたよね?ありがとう!」
ゴン君が笑顔で駆け寄ってきます。
「ワイヤーガン…だっけ。壊れちゃったよね。ごめん。」
「ああ。大丈夫ですよ。また作りますから。」
「手作りだったの!?なら余計に__」
「いいんです。」
「え?」
「人を救けられたなら、それでいいんです。」
私の何が犠牲になっても、それが結果的に人を救けられたなら…それで。
「ハッハッハ!!気に入ったぜお前達!!!」
船長さんが豪快に笑いました。
「お前ら4人はオレ様が責任を持って試験会場最寄りの港まで連れて行ってやる!!」
「でも、私は…」
「そうそう。さっき協会に嬢ちゃんのことを問い合わせてみたんだがな……あったんだよ。」
「え?」
「今年のハンター試験応募者の中に、嬢ちゃんの名前がな。」
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猫ノ栞(プロフ) - 嚠鸝邏さん» コメント&ご指摘ありがとうございます。非常にありがたいです。しっくり来るタイトルが浮かび次第この作品のタイトルを変更させて頂こうかと思います。 (2017年11月28日 8時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
嚠鸝邏 - ごめんなさい、指摘…なのでしょうか?タイトルに就てなのですが、amatoという作者様の、"異能力?いいえ、霊能力です"というものに大変似ておりまして…作成日時は此方の方が新しかったので…ごめんなさい。然し、物語はとても面白いです!更新頑張って下さいね! (2017年11月28日 0時) (レス) id: 4b796ea73d (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - 寝夢@影武者さん» コメント&評価ありがとうございます。この身に余る光栄です。楽しんでいただけたなら何よりです。これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月25日 22時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@影武者(プロフ) - 評価100番目踏ませていただきました!着ぐるみシーンが吹き出すほど面白かったです…(爆笑)これからも更新頑張ってください! (2017年11月25日 21時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - ハイチュウさん» この身に余るお言葉ありがとうございます。拙い文章ではありますが少しでも素敵な絵に見合う作品が書けるよう努力させていただきます。 (2017年8月30日 19時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2016年10月23日 4時