No.37 ページ40
反射的に近くにいたキルア君の背中に身を隠します。
いきなり背後に回り込む形になってしまったにも関わらずなんとなく事情(私がヒソカさんから逃げてきたこと)を知っているらしいキルア君は哀れみの目を向けただけで黙っていてくれました。
御免なさい。キルア君。
だって、あの手のヤバい人には兎に角、見つからないようにするしかないんですもの…!
「試験管というのは審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者があの程度の攻撃を防げないわけがないからね♣」
「褒め言葉として受けとっておきましょう。
しかし。次からは如何なる理由でも私への攻撃は試験管への反逆行為とみなして即失格とします。よろしいですね。」
「ハイハイ♢」
「あれが敗者の姿です。」
トランプに貫かれ、絶命した人面猿。其処へバサバサと鳥達が群がり、ギャアギャアと争いながら血肉を貪っている様子をまるで生物の授業をするかのように話すサトツさん。
「うっ…自然の掟とはいえ、えぐいもんだぜ。」
口を赤く染める鳥達を見て、レオリオが顔を顰めました。
「生きるのに、必死なんでしょうね。」
「は?A?」
生きるために他を喰らう。唯それだけ。
何て真っ直ぐで正直な動機。
ふと、血肉から顔を上げた一匹の鳥と目が合いました。鳥はまた直ぐに血肉を貪り始めましたが私は其の鳥から目が離せずにいます。
だって、血で真っ赤に染った其の姿は、血で汚れたあの頃の私よりもずっと綺麗に見えたから。
当然です。あの鳥はあの頃の私と違って生きることに真摯なんですもの。
「おい、A。あんまり見るもんじゃねえぞ。」
「大丈夫ですよ。私、ミステリーとか大好きなので!血は見慣れてます。」
今の職場がミステリーですしね。
「それとこれとは次元が違えだろ…」
「そうですかね?人が人を蜂の巣にする瞬間の方が余っ程グロッキーですよ?」
「おいおいお前みたいなちっこいのがそんなもん見るのかよ…世も末だな。」
裏の世界じゃよく見る光景ですからね。人間が蜂の巣になる瞬間なんて。
「私をニセ者扱いして受験者を混乱させ、何人か連れ去ろうとしたんでしょうな。こうした命懸けの騙し合いが日夜行われているわけです。現に、何人かは騙されかけて私を疑ったんじゃないですか?」
バツの悪そうな表情のレオリオさん。
図星みたいです。
「それでは参りましょうか。二次試験会場へ。」
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猫ノ栞(プロフ) - 嚠鸝邏さん» コメント&ご指摘ありがとうございます。非常にありがたいです。しっくり来るタイトルが浮かび次第この作品のタイトルを変更させて頂こうかと思います。 (2017年11月28日 8時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
嚠鸝邏 - ごめんなさい、指摘…なのでしょうか?タイトルに就てなのですが、amatoという作者様の、"異能力?いいえ、霊能力です"というものに大変似ておりまして…作成日時は此方の方が新しかったので…ごめんなさい。然し、物語はとても面白いです!更新頑張って下さいね! (2017年11月28日 0時) (レス) id: 4b796ea73d (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - 寝夢@影武者さん» コメント&評価ありがとうございます。この身に余る光栄です。楽しんでいただけたなら何よりです。これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月25日 22時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@影武者(プロフ) - 評価100番目踏ませていただきました!着ぐるみシーンが吹き出すほど面白かったです…(爆笑)これからも更新頑張ってください! (2017年11月25日 21時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - ハイチュウさん» この身に余るお言葉ありがとうございます。拙い文章ではありますが少しでも素敵な絵に見合う作品が書けるよう努力させていただきます。 (2017年8月30日 19時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2016年10月23日 4時