狩人のすゝめ

No.36 ページ39

＊

｢ヌメーレ湿原。通称 “ 詐欺師の塒 ”
二次試験会場へはここを通って行かねばなりません。

この湿原にしかいない珍奇な動物達。

その多くが人間をも欺いて食料にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。

十分注意してついて来てください。

＿＿騙されると 死にますよ。｣


サトツさんの言葉で辺りに緊張が走りました。

そして、同時に地下道の出口にシャッターが降ります。

シャッターより外にいる私達は無事、二次試験会場へ向かうことが出来る資格を得たようです。

あと一歩のところで力尽きてしまった受験者の方は絶望の表情を浮かべていることでしょう。

出口付近にいたクラピカさんと目が合いましたが、何だか気不味くて不自然に目を逸らすことしか出来ません。

｢この湿原の生き物はありとあらゆる方法で獲物をあざむき捕食しようとします。
騙されることのないよう注意深く、
しっかり私のあとをついて来て下さい。｣

｢おかしなことを言うぜ。騙されるのがわかってて、騙されるわけねーだろ。｣

そう言ったレオリオさんの額には走った後だからなのか、緊張からなのか分からない汗が浮かんでいます。

『ウソだ！！ そいつはウソをついている！！』

｢ ｢ ｢！？｣ ｣ ｣

緊迫した空気を引き裂くように響いた叫び声。

声の主は手負いの男性でした。
ボロボロの体と、足と、持っている何かを引き摺りながら此方へよろよろと歩いてきます。

｢そいつはニセ者だ！！試験管じゃない
オレが本当の試験管だ！！｣

サトツさんを指して叫ぶ男性。
それでも冷静なサトツさんとは裏腹に騒ぎ出す受験生達。

｢ニセ者！？どういうことだ！？｣
｢じゃ こいつは一体…！？｣

｢これを見ろ！！｣
｢わぁ！サトツさんそっくり！｣

｢ヌメーレ湿原に生息する人面猿！！
人面猿は新鮮な血肉を好む
しかし手足が細長く非常に力が弱い。
そこで自ら人に扮し言葉巧みに人間を湿原に連れ込み他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ！！

そいつは、ハンター試験に集まった受験生を一網打尽にする気だ…がっ！？｣

刹那、飛んできた数枚のトランプに射抜かれ男性は動かなくなりました。

一方、サトツさんはトランプを全て指に挟む形で受け止めています。

…って。あのトランプは

｢くっくっく…♠ なるほどなるほど♣
これで決定♢ そっちが本物だね♡｣

ヒソカさん(ヤバい人)…！

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