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部屋でひとり、頭を抱える。
問題は山積みだった。
今更お姉ちゃんが出来ました!なんて誰になら言ってもいい?
メンバーに言う?公表するのはやめた方がいい?
そもそもあのひとは、俺のことを知ってるんだろうか。
…俺はあのひとと一緒に、普通に、暮らせるんだろうか。
思春期真っ只中。健全な男子高校生。
というか男子校育ち。
ありとあらゆる条件が揃いまくった俺には到底解決できそうもない問題だらけだった。
姉(仮)の気配を隣の部屋から感じて勝手に気まずくなる。
「どうすりゃいんだよ、」
テスト近いし、勉強しなきゃいけないのは分かってるけど全く身が入らない。
やばい無理だ。
でもどうする?俺に解決出来るのはどれだ?
「ぁあああぁぁあ!!」
とりあえず叫んでみたけど何にも変わらない状況に髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。
…水でも飲みに行くか。
一回落ち着こうってリビングに向かって、そう落ち着かないまま部屋へ戻ってくると扉の前。
俺の悩みの種がいた。
栗色の長い髪はふわふわと巻かれていてすっと通った鼻筋とか上を向いた睫毛とか、全部が文句無しに綺麗で。
このチャンスを逃したらいけない、と思う。
職業上、いつかはきちんと話さないといけない。
いくら同じ家に居たって早い方がいいはずだから。
いけ! 男 那須雄登!!
自らを奮い立たせてすれ違いざま、
「あの、!」
声を掛けた。
きょとんとした顔で振り向いた彼女はん?なんて首を傾げる。
そんな何気ない仕草すらスローモーションに見えてしまう俺は、自分が思うより男子校に染まっているのかもしれない。
「っすみませんいきなり。
…お話したいことがあって」
どうにか切り出すと、そっかってふわりと笑った。
香水ほど強くはない、でも確実に ”女の子” な香りが鼻を掠める。
『どうしたの?』
…何て言うのかは考えてなかった。
まず聞かなきゃと思うことはあるのに言葉にするとなんかキモくなる気がしてつっかえる。
でもこれ以外に合う言葉があるのか?いやない。
いいよもう、言ってしまえ!
「俺のこと、知ってますか」
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作者名:らら | 作成日時:2021年7月17日 13時