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おかしい。
そう思い始めたのは一週間ほど前。
橋本くんがわたしに絡むようになったことが何よりもおかしなことなんだけど、あれから特に大きなアクションはなくて。
ばたばたと日々を過ごしていたらすれ違うことすらほとんど無かった。
じゃあ何がおかしいのかって言うとそれは、
………めちゃくちゃ瑞稀くんと目が合うこと。
それだけ？って思われちゃうかもしれない。
でも今まではわたしが一方的に見ていただけだったから一瞬でも目が合うだけでわたしにとっては大事件だ。
それもわたしが見ていて瑞稀くんがこっちを向く、とかじゃない。
ふと視線を動かした先に既に瑞稀くんがそこにいて、その瞬間に目が合うのだ。
つまり、瑞稀くんがこっちを見ている、？
…いや。
いやいやいやいや！！
自惚れんなわたし。何ちょっと目合ったぐらいで調子乗ってんの。瑞稀くんファンに殺されろ！
なんて、わたしは彼のせいで絶賛情緒不安定だ。
きっとただの偶然だと初めは気に留めていなかったわたし。
だけどあまりにも毎日それが続くから怖くなって、それと同時に確かめてみたくなった。
…瑞稀くん、それは、わざとですか？
だから次に目が合ったらわたしからは、逸らさない。
そう、とっても勇気ある決断をした。
「Aトイレ行こー」
なんていつもの調子で声を掛けてきた友達に微笑んで席を立つ。
『もーいつになったらひとりでトイレ行けるの』
そう零せば、それでも結局付き合ってくれるAがだいすきだよー！！なんて笑うから、呆れながらも可愛いなとか思っちゃって。
ほんと調子いいなぁって返しながら、絡められた腕を受け入れた。
きゃっきゃといつも楽しそうに笑う彼女と廊下を進んで突き当たった1組の教室前。
相変わらず派手なひと達、その中に今日も、
瑞稀くんがいた。
「やっぱかっこいいよねー、ちょい怖いけど」
勿論そっちを向いた彼女が呟く。
………視線は、合わない。
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作者名：らら | 作成日時：2021年7月17日 13時
