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「千冬ぅ、何してたんだァ」
「すんません！！今日預かりなの忘れてて、場地さんに会いたいって聞かなくなって…」
申し訳なさそうな千冬の右手には、小さい左手がシッカリ握られている。
その女の子はキョロキョロ周りを見渡して、見知った顔を見つけると、「おはよう！！！！」と叫びながら突進していった。
「うっ…A、元気にしてたかー？」
「げんきー！けーくんもげんきー？」
「おう。それとな、夜だから"こんばんは"だな」
「でも、テレビでは"おはようございます"してた」
「それは芸能人だからだよ！Aちゃん、いい加減場地さんから離れ…重っ」
千冬が引き離そうとするが、お姫様は離れようとはせず…。
千冬が尻もちをついて、ギリギリ歯を鳴らす。
「けーくん、きいてー」
「どーしたァ」
「今日こくごでね、40てんまんてん！」
「スゲェな！Aは天才だなぁ？」
「あたしてんさい！？」
「そりゃあな。40点なんてスゲェよ」
「場地さん甘やかさないでください！100点満点中の40点なんスから！半分も取れてないんスよ！？」
フー、と息をつく千冬とは対象に彼女は何処吹く風。なんなら、場地の足の間に座り込んで持ってきたテスト用紙を広げているところで。
「ちょっと？誰その子」
「あ、マイキーくん、すんません。従兄弟なんスけど、場地さんに会いたいって聞かなくて、もう連れて帰るんで…ほんと、ちょっとAちゃん立って？」
「けーくん見てー」
「おう。なんだなんだ」
「このかんじ上手？」
「うめぇな。特にこの"止め"がうめぇな」
「あたしはねぇ、この"はらい"がおきにいり！」
「お？これも上手だなァ。ホンットにAは天才だなぁ」
この有様である。
千冬はこうなる事を分かっていた。そりゃ誰だって全肯定botがあるなら、その人とずっと一緒にいる。
場地がAに甘いことなんて分かっていた。もう大体1年くらいになるか。会った時から場地のAへの親バカは留まることを知らず、寧ろ加速する一方で。
それでも、彼女は末っ子気質のワガママお姫様なので、自分の思い通りにいかないと癇癪を起こす。いや、この歳でアレだけならまだ良い方か。マ、兎にも角にも、団地住まいの千冬にとって、子供の泣き声は申し訳ない思いでいっぱいだ。なら、会える人に会って、彼女の機嫌を直す事に専念したけれど。
どうやら、やはり一筋縄ではいかないらしい。
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あ(プロフ) - とても面白いです！！更新頑張ってください☺️ (2023年4月29日 0時) (
レス) id: ca28bfbf34 (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 振り回されてる千冬君と親バカで甘々な場地さんがすごく可愛いです！！ (2021年6月27日 18時) (レス) id: 5c635e6563 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉桜 | 作成日時：2021年6月21日 22時
