06 ページ7
.
ヨッちゃんは「ピアノのおけーこあるから帰るね」と俺を置いて帰ってしまった。
全く薄情な話である。
「だぁーっ！！もう！Aちゃーぁん！！帰るよ！！」
「ちふゆ兄！！」
俺の声が無事届いたおかげで、持っていたボールを放って駆け寄ってくる。こういう所は可愛いのに。
「ちふゆ兄どーしたの」
「お前のお迎えだよ」
「Aちゃんバイクでブンブンいわせたい」
「やめなさいね。俺が怒られるから」
半年ほど前か。
場地さんのバイクに興味をもったAちゃんは「これつかいたい！」と案の定目をキラキラさせてそう言った。
場地さんは断る義理もないうえ、かわい子ちゃんからの頼みに首を横に振れなかったのだろう。ヘルメットを被せて、さぁ一発行くか、という時に俺の母さんは帰ってきた。
結果から言うと俺と場地さんはボコボコにされた。見る影もないくらいにボッコボコにへこまされた。
姉さんがレディースにいるなら母さんもいるだろうな。母さんは頭を張ってたんだ。
俺は引いたね。まさか俺の憧れの人という話をしていた場地さんまでボコすなんて思わなかったもの。
それからAちゃんをバイクに乗せようと思ったことは無い。それは彼も同じである。
「それよりAちゃん、ドッジボールしてたんじゃねーの」
「してたよ！」
「なんで顔をボコボコにすんだよ」
「？だってケンカは"かおから"って。血でにじんだらね、前が見えなくなるんだよ。さいきふのうにするの」
「誰に教えてもらったんだ。ンなわけねーだろ。良いか？今度から顔は狙っちゃダメだ。兄ちゃんとの約束な。顔以外ならどれだけ狙ってもいいぞ」
「じゃあこんどから足と足のあいだをねらう！」
「一生使い物にならなくなるからやめてあげようね」
「ちふゆ兄ってムズカシイはなしばっかで要りょーえないね」
「なんで1年生が要領を得ないなんて言葉を知ってるんだ。場地さんは多分知らねーぞ」
つか、東卍の人は知らないと思う。…あ、三ツ谷くんは多分知ってる。あと、ドラケンくんとか。
変なところでこの子の頭良いのはなんなんだろう。使い道を間違えてると思う。
「ねー、こんどね、じゅぎょーさんかんやるから来て」
「姉さんと樹くんは？」
「しごとー」
「何日？」
「あしたのあした」
「もっと早く言おうね」
「けーくん来てくれる？」
誘ってないから来ないだろうさ。
そこンところ分かっているのか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ(プロフ) - とても面白いです！！更新頑張ってください☺️ (2023年4月29日 0時) (
レス) id: ca28bfbf34 (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 振り回されてる千冬君と親バカで甘々な場地さんがすごく可愛いです！！ (2021年6月27日 18時) (レス) id: 5c635e6563 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉桜 | 作成日時：2021年6月21日 22時
