05 ページ5
.
「そ、それじゃあご飯にしよっか」
「いづ姉、手伝うよ」
いづ姉の後をついてまわる。
「今日は私が作ったんだぁ」
そう言った瞬間、寮内の空気が気まずくなる。
まさか…。
「いづ姉。もしかしてさ、カレー？」
「せいかーい！！今日のカレーはね、新しいスパイスを…あっ…」
「お姉ちゃん！自分の好きなものを他人に押し付けるのは違うって前から言ってるでしょ！？！？」
お察しの通り、私はカレーが大の嫌いだ。
ほとんどお姉ちゃんのせいだけど。
だって、だって、小さい子はカレー好きって言うけど度が過ぎるんだもん！！
「Aちゃん、落ち着いて」
「そうだぞ。スコーンでも食うか？甘いものを食べたら落ち着くだろうし…」
「すみません。ありがたいですけれど今は大丈夫です。それより、お姉ちゃん？なんてことしてるの！まだ高校生の子もいるんだよ？中学生だっている。育ち盛りなの。なのに、またカレーばっか作ってんでしょ？ずーっとカレーを食べ続けてきたからお姉ちゃんは背が伸びなかったのよ！！」
集まっていた団員の子たちは何も言わない。良くて苦笑である。
「私、お姉ちゃんのことは大好きだけどカレーは大っ嫌いだから。お夕飯がカレーだったら私は食べないわ。自分の分は自分で作って食べる」
「で、でも…」
「そんなに毎日カレーまみれの生活を送りたいなら毎日狂ったようにカレーを食べ続ければいいのよ。そのうち血液もカレーの色で黄ばむでしょうね！」
「いや、黄ばむことはないんじゃ…」
「ねぇ？左京兄もそう思うでしょ？」
突然話を振られた左京兄は「はぁ」と肩を竦めた。
「ふーん、あっそうですか、そうですか。左京兄はいづ姉に初めて作っ…むごっ」
「そうだぞ、監督。カレーの作りすぎは良くない。せめて１ヶ月…」
「2ヶ月に1回、だよね？左京兄」
「…そうだな」
私の完全勝利だ。
.
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←設定
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉桜 | 作成日時：2020年6月28日 15時
