いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ8)

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7話ページ8

北さんの一声で再び練習が再開し、みんなの視線はコートへ戻った。

北さんと監督であろう人たち以外は。

試合形式が終わりサーブの練習が始まる。

ぼーっと眺めていれば端の方で手招きしている北さんと監督っぽい人達が視界に移る。

無視するわけにもいかず大人しくそこへ向かう。

北「すまんな、呼び出して。」

『……いえ、何か用ですか？』

要件はなんとなく分かっていたが、取り敢えずそう問いかける。

監「…橘A。姫路中男子バレー部のリベロ。」

『……』

監「噂には聞いてたがほんま綺麗なレシーブやったなぁ

……自分がバレー部入ってくれよったらうちのチームはもっと強くなると思うんやけどなぁ。」

……あぁ、本当にやってしまった。

結局その場ではやんわり断り、丁度練習も終わったようで体育館を後にする。

荷物を取りに教室へ戻っては自分の席へ腰を下ろす。

ぼーっと暗くなり始める外を眺めながら先程のバレー部の練習風景を思い浮かべる。

懐かしい匂いに音、それは自分が一番好きなもので小さい頃から1番近くにあった。

電気の着いていない暗い教室の中。

レシーブの形を作り、随分と久しぶりな気がする先程のレシーブの感覚を思い出していた。