いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ2)

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1話ページ2

お昼休み。いつもの場所でいつもと同じ菓子パンといつもと同じ紙パックのいちごミルク。

快晴とまではいかないが、いい感じに晴れていて気持ちのいい風。

＿＿の中にひとつの大きすぎる違和感。

「…なぁなぁ、橘くんよな？隣のクラスなんやけどわかる？昼飯の時間気づいたらおらんくなっててどこいってんのやろってサムが言っとったけど…こんなとこにおったとはなぁ！」

…どうしてこんなことに、、

「おい、無視すんなや！」

＿＿ただのクラスメイト
それ以上でも以下でもない、そんな距離感を保ってきた筈だ。

「聞こえとるん、橘くん！」

…どうしてこんなにも喧しいのだろう。

「…橘 A！！！」

……あー、もう…

『…うっさいねん！！！』

┈ 数分前

「……好きです、付き合ってください！」

いつもなら自分以外誰もいないはずの屋上に聞き馴染みのない声が響く。

「えと、うち…入学式で見た時からずっと好きで…！バレーしてる姿いつも見とるんよ、……周りにも女の子いっぱいおって…遠いなって、うちがいちばん近くにおりたいなって、…だめかな、＿＿＿侑くん、！」

あっちからはどうやら死角になっているようで、昼飯を食べる此方には気づいていないのか女の子であろう声の持ち主は弾丸の様に話を続けた。

「……あ〜、、すまん、誰やっけ？」

＿＿結果はまぁ…言うまでまもないだろう。

結局その後女の子は恥ずかしさと怒り、悲しみを孕んだ顔で相手の頬を叩きその場から逃げるように走り去って行った。

…随分と心無いやっちゃなぁ

侑「…声に出とるで、＿＿橘くん。」

ふと陰が差し掛かり聞こえてくる声。先程聞いたばかりの声だった。

ビクッと肩を揺らせばその拍子に口に含んだばかりの菓子パンを思わず飲み込んでしまい咳き込む。

『っ、！？、げほ、っごほ、！！…ちょぉ、急に、話しかけんといてや、！！』

息を整えつつ振り返ればそこには先程女の子をこっぴどく振った男＿＿宮侑が立っていた。