【nrs】長崎の暴走列車、ブレーキを担当しております。【男主】 (ページ31)

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「俺、もうちょっと気抜いた方がいいのかな」
「うん。ちょっと気張りすぎだよ。なるせと足して2で割るくらいがちょうどいいよ。」

けらけらと笑った彼に思わず自分もつられてしまった。2人でその後、買ってきたイチゴをつまみながら酒を煽り、2缶目が空く頃に、しゅーずが風呂を譲ってくれた。バスボム入れたから湯船も浸かってほしい、なんて都会のOLみたいなことを言うしゅーずに乗っかり湯船に浸かると、風呂から出たあとに肌がもちもちになって驚いた。俺の後に風呂から出たしゅーずは、自分の肌を触って興奮するという若干気持ちの悪い26歳児を見てまた大爆笑した。

しゅーずが敷いてくれた客用の布団に入ると頭上でベッドに寝転がったしゅーずがこちらに身を乗り出した。

「ねえA。」
「んー？」
「……Aのピアノ、いつか聞かせてね」

スマホに目を向けて伏せていた顔を勢いよく持ち上げると、悪戯っ子の様な顔をしたしゅーずがニヤリと笑っていた。

「……なんで知ってんの」
「俺がピアノ弾いてるところとか、奏音さんがピアノ弾いてるところとか結構見てたから。弾けるのかな〜って思ったんだけど、その様子だと当たりっぽいね」

妙に勘がいいし、察しのいい男だ。じろりと睨むとそれを躱すように彼はけらけらと笑った。大きくため息をつく俺にしゅーずは嬉しそうにして布団にもぐった。

「楽しみだな〜！Aのピアノ！」
「俺弾くなんて言ってないけど」
「いつかね、いつか！おやすみ〜」

部屋の照明は完全に落とされて、俺も諦めて目を瞑る。いつもと違う自分の家でもなるせの家でもない匂いは、どこか大人で甘い、バニラの香りだった。