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今日も今日とて仕事。たとえ心がどんなに沈んでいようが、どんなに体が重くても仕事は仕事。むしろ、意識を集中させるものがある方が有難いかもしれない。入荷したばかりの本を棚に並べていると、入店の音が鳴った。

「いらっしゃいませ」
「やっほ〜」

「あれ、しゅーずだ」

今日は仕事じゃないのか、と問うとどうやら今日は撮影があるらしい。その隙間に来てくれたんだとか。

「なんでわざわざ?暇な時に来ればいいのに」
「ふふ、今日はちょっとAに用があって」

首を傾げると、しゅーずがまたくすりと笑って大きな声を出した。

「おじいさーん!A、今日一日借りますね〜!」
「……えっ、ちょっと、」

ああいいよ、と軽々しく店の奥から出てきた店長は言った。そのままあれよあれよと荷物をまとめられ、あっという間にタクシーに押し込められる。気がつけば既に発車していて、こんな強引な彼は初めて見た、と驚いていると隣でしゅーずが声を上げて笑った。

「……なに、きゅうに」
「あははっ、A、ビビりすぎだよ!今日はちょっと付き合って欲しかっただけだから!」

なんもしないよ、Aが嫌がることもしない。そう言った彼の瞳は優しくて、なんだかそれが気まずくて目を逸らした。
道路を走り抜けて暫くして、撮影現場のカフェに着いたらしく降ろされた。数少ない荷物は人質かのようにしゅーずに取り上げられていて俺の手元には戻ってこない。ため息をつくとしゅーずはまた笑って、手馴れたようにドアを開け、中に招き入れられた。

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作者名: | 作成日時:2022年1月16日 22時

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