ツンデレくんと家政婦ちゃん【青】

なんぱ ページ9

「Aちゃんこれも！」

ころんさんはポテトチップスやらチョコレートやらをぽいぽいとカゴに放り込む。

・・・ついてきたの、自分の欲しいもの買うためかい！

いや別にいいんだけどさ！

わたしはパンコーナーで熱心にパンを選ぶ。

ころんさんこれ好きかな？レーズンとか大丈夫？

いや本人に聞けばいいんだけど。こういうの考えるの好きだからまぁいいや。

「あ、Aちゃん、パンは食パンのして〜。6枚入りのやつね〜」

「・・・はい」

わたしは食パン(6枚入りの！)をカゴにいれて、レジに向かった。


「今日はスクランブルエッグだあ！」

ころんさんが無邪気に喜ぶ。

卵がなかったから2パックも、買ってしまった。とりあえず卵を消費したかったからスクランブルエッグにした。

朝食がスクランブルエッグだというだけで喜ぶ成人済み男性。

この世の男がみんなこうだったらきっと世の中平和だ。

「Aちゃんは今日バイトあるんでしょ？」

「はい。でも、夜ご飯は作れますから」

わたしは家政婦のほかに、2つバイトしている。

そして大学にも行ってるので結構忙しい。

「ねえねえ。明日、僕歌みた投稿するから聞いてよ！忘れないでね！」

「はーい」

わたしはあれから「すとぷり」について調べた。

6人グループで、事務所には入っていない。リーダはななもり。さん。去年ツアーもしていてCDも出している。でも、メインの活動は生放送らしい。

「歌い手」グループではないらしい。主にリスナーさんが喜ぶことなら何でもするという、エンタメユニット。

わたしはそれまでネットには全く興味がなく、流行には疎かった。でも最近メンバー個人の歌みたや動画をたくさん見るようになった。

結構おもしろいし。

「じゃあ行ってきます」
「行ってらぁ〜」




「合計千円になります」

わたしはころんさんの家から近めのコンビニでバイトしている。

今は接客中。

商品を袋に詰めていると、お客さんに、「ねぇ」と話しかけられた。

「はい？」


「この後時間ある？」

「は？」


ヤバい。ついは？なんて言ってしまった。

「僕とデートしようよ」

「・・・すみません。」

「いいじゃーん」

し、しつこい！

ナンパにはなれてない。それに、わたしは家に帰ってころんさんのためにご飯を作るという役割がある。


遊ぶ時間はないのだ。


断り続けていると、その男は諦めて帰っていった。


・・・結構イケメンだったな。

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