陸拾 ページ13
着いたのは不死川さんのお屋敷だった。
不死川さんは乱暴にドアを開けると、私を引きずったままズカズカと入っていく。
玄関の段差の所ではさりげなく私の身体を持ち上げて(引きあげて?)くれた。
わ、私靴脱いでないのに…!!
不死川さんはある部屋に入るとその部屋の縁側で、私の首根っこを掴んでいる手を離した。
「不、死川さん…?な、何用で、すか?」
不死川さんは黙って私を見下ろしていた。
えっと、私何かしたのかな、?こ、わい!!
え、私、一体何した、?え?
私がビクビクとしながら不死川さんを見上げていると不意に不死川さんは口を開いた。
「…それ。」
え?それ??
不死川さんの目を辿る。あ…。
「えっと、明日着てくるように、と、お館様から頂いた、お着物、です。」
「…着付けは?」
「あ、えと、じ、自分でできないから、どうしようかと、」
ど、どうして不死川さんがそんなことを聞くんだろう。
というか、体の震えが、止まらない…。
「…___って、やるよ」
「っぇ?」
「俺がやってやるっつってんだよォォ!!」
「っっひっ、ぇ、ぁ、ありがと、ございますっ」
え、できるんだ、え、なんで不死川さんが、えと、嬉しい、
そして、明日の朝イチで不死川さんがやってくださることになり、今日はたまたま不死川さんの見回りがない(最近鬼の出没が減った為柱の見回りが一週間に6日となった。)ので、
不死川さんのお屋敷に泊まることになった。
なんか、とても申し訳ない…。こんなに良くしてもらって、
「おい!」
「っはいっ、!」
二人で夕食を食べ終わり、食後のお茶を二人で飲んでいた所、急に不死川さんが声をあげた。
きゅ、急に、なんだろうか。
なにか、やってしまった、?
「…最近、どうなんだよ。」
「…ぇ、さ、最近、ですか?」
最近。
その言葉に今日の朝の事を思い出し、思わず俯いてしまった。
「…何かあったのかァ?」
「…ぇ、と、何かあった、というわけでは、ないのですが、…。」
私は言うかどうか悩んだが、不死川さんの鋭い目に促され、ぽつぽつとだが、今日の朝あった事を話した。
あと、何でだろうか。無意識に、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。
誰にも言えなかった、
ずっと心に刺さっていた隊士の事も、話してしまった。
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ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔚 | 作成日時:2020年1月13日 21時