悲哀ノ呼吸弐【鬼滅の刃】 (ページ15)

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陸拾弐ページ15

不死川side

まぁ、そんなこんやで哀透を見つけて拉致って来た俺は、哀透と夕飯を食っていた。

それにしても、全然食わねぇなぁ、こいつは。
こんなひょろひょろでよく柱に慣れたもんだ。

俺は、茶をすすりながら哀透に話しかけた。

｢おい！｣

｢っはいっ、！｣

やべ、ついでかい声出しちまった。

｢最近、どうなんだよ。｣

俺は、穏やかに言った。変にビビらせたくねぇしな。

俺のこの言葉に、哀透は分かりやすく俯いた。嗚呼、胡蝶の言ってた朝のやつか。

｢…何かあったのかァ？｣

なるべく優しい声で言う。すると、哀透は徐々に口を開き始めた。

｢…ぇと、今日、胡蝶さんから、逃げてしまって…。｣

知ってる。
血鬼術の話のせいだろ。

｢胡蝶、さんと、血鬼術の話を、してる、時、
あの、なんか、あの…」

哀透の口調がどもる。

「…ゆっくりでいいぞ。」

哀透はゆっくりと深呼吸をして、再度口を開いた。

「…あ、の、私の、受けた、血鬼術は、逆、転という、ものらしい、のですけど、」

知ってる。それも聞いた。

「なんか、丁度そこ、らへんのタ、イミングで、…あ、の、……隊士の、方が、私について、話しているのを、聞いて、しまって…。」

なるほどなァ。それが現実なのか血鬼術なのかを気にしてんのか。

まぁ、十中八九、血鬼術だろうなァ。
こいつの事悪くいう奴は鬼殺隊にいねぇしなァ。

「…それでェ？それを気にして胡蝶んとこから飛び出してきたのかァ？」

「……は、い。」

「……はぁぁぁぁっ」

たくっ、んっとこいつは…。

「馬鹿だなァ。んな奴いねぇよォ。血鬼術だよ。んなこと気にすんなァ。」

「っっ、でもっ、」

「ア〝ア〝？？俺ん言うことが信じられねぇのかよォ」

「い、いえっ、」

俺のその言葉に肩をこれでもかと話させる哀透。

「ふっ、からかっただけだァ。んなビクビクすんなよ。
どうしても不安ならその隊士って奴を俺んとこに連れてこい。俺が直々に聞いてやっから。」

「…ぁ、いえ、もう、だいじょぶ、です。
ありがと、うございます…。」

俺は哀透の頭をぐしゃっと撫でた。

「たまには普通のガキになって、俺たちを頼れよ。
同じ立場だがァ、俺たちは一応大人だからな。」

俺はその時の哀透のか細い、はい、という言葉を聞き流さなかった。たまには、いいな。こういうのも。