【男主】先生の天敵。【ヒプマイ】

第四話 ページ5

side A

ただ無心で運転している時だった。


轟く悲鳴と、ガシャーンという何かがぶつかり、壊れたような音。


信号で止まっている対向車線の緑色の車が、何があったか突然アクセルを踏み、横断歩道の通行人をはねた挙句、自分の車の2台前にある白のワゴンに衝突したらしかった。


ワゴンの方は後方が大きく凹んでいたが、幸い運転手は目立った外傷はないようで、車を降りてどこかへ連絡している。


通行人の親子、特に子どもの方は自車の近くまではねとばされており、先程からピクリともしない。


車のドアをあけ、医者です。と軽く名乗り跳ね飛ばされた少年の様子をみる。


自発呼吸は行っていたが、反応も鈍く、耐えるような唸り声をあげるが、こちらも大きな外傷は見当たらないため、大方どこか骨が折れたか外れたかだろう。


それなら特に処置することもないか…と考えていると、おい！とオッサンに声をかけられる


「あっちの運転手が、頭から血ｨ流してて、ちっとも反応もしねぇんだ。呼吸も怪しいし、おめェ医者だろ。ちょっとみてくれよ」


頭か…脳震盪から血管の破裂まで様々なことが考えられる。とりあえず見てみるしかないか。


立ち上がり、そっちへ行こうとすると、子どもの母親と思わしき傷だらけの女性に腕を掴まれる


「あなた！！こんなに苦しそうな子どもをほっていくんですか！？医者でしょ！！？」

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