8.異能 ページ11
【森】
「・・・君は、何者なんだい?」
いつものようにエリスちゃんと追いかけっこをしていた時。
任務を終わらせたであろう芥川くんが帰って来た。
・・・後ろに少年を連れて。
まるで何年か前の“彼’’を見ているようだったから、頭痛がしてくる。
「これはこれは、芥川くんにしては珍しいことをしてくれるね。」
エリスちゃんを向こうの部屋に連れて言った後、デスク越しに向き合う。
彼はいつものように無表情で言った。
「此奴は、僕の任務現場を傍観し、その後訳のわからないことを口走りました。杞憂かもしれませんが、敵組織の間者である可能性も捨てきれません。」
「だから、優秀な拷問班がいる本拠地まで連れてきた、と・・・。なるほど、君も賢くなったものだね。」
今までの君だったらその場で殺していただろうに、と付け加えると、微かに頷いた。
「さて・・・、」
少年の方に目を向ける。
少年はエリスちゃんが入っていった部屋の扉と私の顔を仕切りに見比べて、何か呟いている。
ロリコンだなんて、自分が一番わかってる。
やっと視線に気がついたのか、目線が私の顔で止まる。
よく見ると、随分と秀麗な顔立ちで、もう少し若くて女の子だったら・・・、
「・・・おっと、いけない。私としたことが。」
「・・・。」
『?』
芥川くんは何を考えているのかわかったのか、冷たい目で見てくる。
切実にやめてほしい。
「ゔぅん、さて、君は何をしていたんだい?」
気を取り直して質問する。
『何を・・・?探していたんです。』
「何を?」
『神様に、許してもらう方法・・・。』
「・・・は?」
なんて突拍子も無い言葉だ。
敵組織の構成員だったとしたら、こんな間抜けな答えは言わない。
でも、本気で言ってるとしたら明らかに頭がおかしい。
そこで、冒頭の質問へ至る。
『何者か、なんてわからない・・・。けど、両親を《救済》した日から、俺は神様に呪われている。』
「どんな風に?」
『・・・壊れちゃうんだ。』
「・・・ほう?」
もしかしたら、芥川くんは思わぬ拾い物をして来たかもしれない。
少年の話が全て真実だとしたら、「壊れちゃう」という言葉は、
*
*
「・・・・・・異能力か。」
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作者名:ミチコ | 作成日時:2018年2月18日 11時