白き獣は思ふ ページ3
斑視点
コイツ(綾乃)の瞳に光は無かった。
前髪の影のせいか?
違う。
孤独に身を置いた人の子。
「別に……喰われても良い」
違う。
私はそれを聞きたいのではない。
人に情を移すなんぞ、私も落ちたな。
孤独というレッテル。
最近、噂に聞いた“妖”の姿を視ることができる人の子。
コイツ(綾乃)のことだろう。
人の子に関わるとろくな事がない。
だが、ソイツは次の日も来た。
「斑、居る?」
___居らん___
ソイツはクスリと笑みを溢す。
「饅頭食べる?」
___寄越せ___
「はいはい」
ソイツは木の上に登って私の隣に座った。
___何故隣に座る___
「嫌?」
___嫌ではない___
ふと、ソイツの腕の傷に目がいく。
___今日“も”イジメとやらをやられたのか?___
「え?……嗚呼、コレ?違うよ、本をぶつけただけ」
嘘。
___ダウト___
私がそう言えば、ソイツは目を丸くして此方を見る。
「斑って……千里眼でも持ってるの?」
___持っているものか___
「えー。僕の嘘は全部見抜けるの斑くらいだよ?」
___お前は表情に出やすいからな___
「え、嘘?!」
そう言って、自らの顔をペタペタと触り回す。
「ポーカーフェイスなんだけどなあ」
___嘘だ___
「うっわあ、斑って腹黒いね」
お前が言うなお前が。
そんな日常を私は密かに楽しんでいた。
「斑、楽しんでる?」
___そんな訳がなかろう___
「あ、斑が笑った」
___笑ってなどいない___
ソイツの視線から逃げるように顔を背ける。
「斑と居ると、苦しいこと全部忘れちゃうなあ
」
___まだ___
「うん?」
___まだ、妖に喰われたいなどと思っているのか?___
ソイツは笑顔になると、
「うん」
さも当然という風に頷いた。
「でも、誰も喰べてくれない」
それは当たり前だ。
私が邪魔しているのだから。
___私の行く先にお前がいるからだ___
お前を他の奴に喰われてたまるものか。
お前は
_____________________。
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作者名:無色透明 | 作成日時:2018年12月1日 23時