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海の手前の砂浜に座ろうとすれば


「待て、」


赤井さんが上着を脱ぎ、それを砂浜に引いてくれる。



「座って良いぞ」


「....え、でも...」


「古いものだしそろそろ捨てようかと思っていたものだ。
 遠慮するな」



「....じゃあ、お言葉に甘えます」






心地良い波の音。
ひんやりと涼しい潮風。
緋色の空。

隣には愛しの彼。




(幸せ空間.....)




今を噛み締めていると
赤井さんはそんな私の横顔を横目で眺めている。


そして、赤井さんが口を開いた。





「....おまえといると
 何も考えられなくなってしまうよ」



「...え?」



赤井さんの方を見れば
彼は沈んでゆく夕日を見ていた。


どことなく、儚いような。そんな表情で。



「....それって...良い意味で?」


「じゃなきゃ言わないだろ」


「....悪い意味って言われたら泣いちゃうとこでした」


「それはそれで見てみたいな」


「私、あんまり泣かないんですけどね
 よっぽどの事じゃないと...」


「半泣きにはよくなってるがな」



「....まぁ、そうなんですけど....って、...え?」




彼の言葉の違和感に途中で気がつく。








「........私たち、会うの3回目ですよ?」








そう言えば、彼は表情を変えぬまま
夕日に向けていた視線からゆっくりと私に向けた。


 



「........白々しいな
 もう、気づいてるんだろ?」




「....え、なにが...」




(え?....それって...そう言う事だよね...?)



無意識にも目を見開けば、彼はフッと笑う。





「そうだな、自分の口からハッキリ言おうか。

 沖矢昴の正体は、俺の変装だ」




その時の夕日に照らされた彼の表情が、
実に美しくて、綺麗で

夕日さえも味方につけたような。






「.............なん、で、言っちゃうんですか...?」





「...そうだな
 色んな手を打って疑いを晴らそうとも考えたが」




風によって乱れた私の髪を
彼の長い指がそれを耳にかける。



「おまえに正体を暴かれて
 喜んでいた自分に気づいてしまったんだ」




「....え?」





「元々警戒してたなら分かるが
 おまえは、ただただ純粋な感情で
 俺の正体を見破ってくれたからな」




(...それは自分でも思う。
 恋心ってすっげーって。)
 




赤井さんは、また夕日に視線を戻すと
そこから暫く黙った。


沈黙が流れる中



ドクン、ドクンと、私の心臓は大きく音をたてる。






「.........赤井さんっ」



「....ん?」

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設定タグ:沖矢昴 , 名探偵コナン , 赤井秀一   
作品ジャンル:アニメ
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よんたん(プロフ) - 悠希さん» 有難うございます❤︎頑張れます🥹励みです🥹🍀 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - しまさん» 赤井しゃん...❤︎笑 有難うございます🥹 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - ダイアナさん» 嬉しい...有難うございます😭 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - アンさん» 頑張れます🍀ありがとうございます❤︎ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - さくら(ふぶきち)さん» ありがとうございます❤️ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よんたん | 作成日時:2023年5月2日 1時

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