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赤井 side
どうしたものか。
本当の姿を見られてしまって焦る気持ちも勿論あったが、今はそれよりも、様子のおかしい彼女の方が心配でならない。
....体調が悪い?
いや、俺の目は誤魔化せない。
何かある、きっと彼女は何か怖い思いをしている。
赤井秀一である初対面の俺に話せないのなら
薬を買いに行くフリをして、彼女が心を開いてくれている沖矢昴に変装し、事情を聞いて彼女の不安を即座に取り除いてやりたい。
そう思った矢先の事だ
その小さな手で手首を捕まれ、阻止されてしまった。
「.....薬なら家に置いてますので大丈夫です」
そう言ってもう片方の手も一緒に俺の手首を掴んで、それを俯くように見下ろしていた。
「...なら、俺は御暇させていただこう。
病人に気を遣わせるわけにもいかないのでな」
「....駄目!」
「...?」
手首を握る彼女の両手に力が込められた。
そして暫くして、俺の目を涙目で見つめてきた。
「昴さんが帰ってくるまで....居てください
今、1人になりたくないんです」
「......」
震える彼女を見て、俺はスルリと彼女の手を離し
その華奢な肩を両手で掴んだ。
「やっぱり何かあったんだな
言え、何も俺に気を遣わせる事はない」
「......っ、」
顔をを逸らす彼女の顎を掴み
無理矢理顔の角度を変えた。
やむを得ず、圧をかける事にした。
「話せと言ってるだろ?」
彼女の緋色の大きな瞳が揺れた。
そして暫くして彼女の口が開く。
「..........実は、」
.
.
.
.
「その人、今虫歯治療をしてて...
明日も予約が入ってるんです」
「なるほど......」
変態野郎が。
彼女からこの話を聞いて、俺は"昨日の夜のあの男"と関係がある、と確信した。
昨日、夜中、部屋で酒を飲みながら外の景色を眺めていると、この工藤邸周辺で怪しい動きをしている男を見かけた。
奴等か...?と一瞬胸を震わせたが
奴等にしては挙動不審で、あの独特の目立つオーラも放ってはいなかった。
だが安心はできない。
それで俺は昨晩、彼女に用事があると言って
その男を取っ捕まえて何を企んでるのか吐かせにいこうと思ったわけだが。
外へ出るとその男はどこへやら姿を消していたがな。
それでもまたやって来ればすぐ捕まえられるようにと
俺は付近で車を停車し、一晩中張り込んでいたわけだ。
恐らく俺の勘が正しければ
今夜その男はまたやって来る筈だ。
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よんたん(プロフ) - 悠希さん» 有難うございます❤︎頑張れます🥹励みです🥹🍀 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - しまさん» 赤井しゃん...❤︎笑 有難うございます🥹 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - ダイアナさん» 嬉しい...有難うございます😭 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - アンさん» 頑張れます🍀ありがとうございます❤︎ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - さくら(ふぶきち)さん» ありがとうございます❤️ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんたん | 作成日時:2023年5月2日 1時