同居人が顔面の良さと色気爆走させてる【赤井秀一】 (ページ22)

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医院を出ると真っ先に思い浮かぶのは昴さんの顔だった。

「.....昴さんに迎えに来てもらおうかな...
いや、昴さん昨晩から何か用事があるって言って出て行ったっきりで...今朝もまだ家に帰ってなかったしな...」

今の時刻13時半。

帰ってきてたとしてもきっと眠ってる筈。

私はカバンを抱いてあたりをキョロキョロと警戒しながら工藤邸へ急いだ。

「ハァ...まだ外が明るくて良かった...」

最悪の事態を考えたが、まだ真っ昼間。
無事家に辿り着く事ができた。

鍵を開け、重い扉を開ければ玄関に昴さんがいつも履いている靴が並んでいた事に気がつく。

それを見た瞬間、全身の力が抜けていくかのようにホッとした。

「.....寝てる...よね...」

すぐにさっきの事を昴さんに報告したかったが
徹夜であろう彼を起こす気にもなれない。

(とりあえず私も寝よう...)

さっきの出来事で神経を研ぎ澄ましたせいか、体の疲れを感じる。

自室へ向かおうと階段に足をかけたその時

ーーーゴトン

脱衣所の方から物音が聞こえてきた。

(.....！昴さん、起きてたんだ！)

私は早く彼の姿を見て安心したい、という気持ちに駆られ
脱衣所へ駆け込んだ。

「.....昴さん！！」

そう言って勢いよくその扉を開けると

ーーーーーえ？

時が止まったような。

だってそこには、昴さんじゃない上裸の男が。
タオル一枚を下半身に巻きつけて。

グリーンの瞳に漆黒の黒髪。

目が合うと、彼は私を見て血の気が引くような表情を浮かべた。

「.....何故....？仕事は...？」

「ぃ....いや...「待て....！」

叫ぼうとしたその瞬間、彼は慌てて私の口を塞ぐ。

ゴツゴツと骨張った大きな手。

勢いのあまり壁に押しつけられる私。

(.........ん？...デジャブ...！？)

「どうかそのまま落ち着いて聞いて頂きたい
　.....俺は沖矢昴の友人で
　...その、先程この家の近所でドブにはまってしまってな。
それで風呂を借りたという訳だ」

昴さんはどこに....？と思った私の心を読み取ったのか
彼は話を続けた。

「彼なら急用を思い出したと言って先程外に出て行ってな。風呂に入って待ってろと言われて
　な、なに...きっとすぐ帰ってくるさ」

　

.....そういう事か...。
昴さんの友人か...なら絶対悪い人じゃないな。

いやでもすぐにその手を離してほしい。

すごく目のやり場に困るんですが。