同居人が顔面の良さと色気爆走させてる【赤井秀一】 (ページ16)

今日:737 hit、昨日:1,994 hit、合計:471,063 hit

14 ページ16

「喫茶ポアロの男性のアルバイトさんが...？」

「はい、昴さんにもどうぞって」

帰宅後、安室さんから貰ったハムサンドを昴さんに渡しその事の経緯を説明すれば
昴さんは顎に手を添え、何か考える素振りを見せた。

「.....そうですか。それは後日お礼に伺わなくては」

「.....っ！！....その時は私もご一緒します！」

「いや、お礼なら僕1人で...」

「駄目です私も行きます」

「....は、はぁ...分かりました...」

不思議そうな表情を浮かべる昴さん。
私の気持ちなど気づく筈もなく...。

それにしてもムカつくほど美味いわこのハムサンド...
それに貪りついていると昴さんは何か閃いたかのように眼鏡を光らした。

「もしやAさん...
あのポアロの店員さんに一目惚れしましたか」

「....は！？」

まさかの発言に喉を詰まらせてしまう。

「....な、何言って....！」

「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ
　誰にも言いませんので」

「違....！」

私は昴さんが....！
そう勢いで言いかけたのを喉の奥に押し戻した。

「...ふふ、顔が赤いですよAさん」

なんだか嬉しそうに、揶揄うようにそんな事を言った昴さんを見て

私はモヤっとした。

「....。わたし、お風呂入ってきます...」

私は恥ずかしさと、なんとも言えない感情を胸に
リビングを飛び出し、脱衣所へと向かった。

一方昴さんは

「.....ん？怒らせてしまったか...？」

(女性というのはこういう色恋の話に花を咲かせる生き物だと思ったんだがな...)

単純に彼女と楽しくお喋りがしたかっただけなのに、と。

「....昴さんの馬鹿、馬鹿馬鹿....」

シャワーを終えてもモヤモヤした気持ちが収まる事はなかった。

「.....はぁ...片想いって...こんな感じなんだ...」

満たされない気持ち。

まだ出会って間もないのにも関わらず

焦ってしまう、すぐに答えを求めてしまう。

浴室から出てタオルを取り、水気を吸い取って服を身につけようとしたその時にある事に気づく。

「あ、」

勢いで脱衣所に駆け込んだ為、
自室から下着や部屋着を持って来るのを忘れてしまっていた。

(おいおいおい、嘘やろ！？)

私は脱衣所の扉を開けると、あたりを見渡し
昴さんがまだリビングに居るのを確認すると
全速力で自室へ向かった。