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今にも近所の人がすぐさま駆けつけてきてしまうんではないかと言う程の声を出すと
その不審者は慌てて私の口を塞ぐ。
「.....んぅ!」
その勢いのあまりか、壁に頭が押しつけられてしまう。
「落ち着いて、僕は...」
何か話しているがとてつもない恐怖心のせいでその言葉が耳に入らない。
私はその手首を両手で掴み、押し返そうとするがびくともしなかった。
(やばい...襲われる...殺される...怖い、怖い、怖いよ)
恐怖で涙がボロボロと流れ落ちてきたその時だった。
彼はそんな私を見ると、慌てて私からその大きな手を離した。
「....っ!手荒な真似をして申し訳ない...
けれどどうか、落ち着いて頂きたい」
「....うぅ...ぅ...」
鼻水も垂らしながら泣きじゃくって彼を見ていると、彼は両手を自分の顔あたりまで上げた。
「僕は沖矢昴と申します。
この通りキミに危害を加える気はありません
どうか落ち着いて僕の話を聞いて頂きたい」
「ぅっうぅ...おきや...すば...る...?」
「えぇ、...Aさん...?ですよね
あなたの事は有希子さんから何度かお話を聞いたことがあります。それに写真も拝見させて頂いた事があります」
「....ぇ、」
有希子さん....?
その名前に私の胸は即座にホッとした。
とにかくで彼は、有希子さんの何かしらの知り合いであるという事はその言葉で一瞬で理解した。
泣き止み、落ち着きを取り戻そうとしている私を見て彼もまた、安心したような表情を浮かべる。
「察しが良くて助かります
驚かせてしまって本当に申し訳ない」
そう言って彼は私に手を差し伸べてくる。
「リビングに移動しましょう
とにかく事の経緯を話しますので」
「...わ...わかりました...」
_____
_______
「なるほど、住んでたアパートが火事で...
それは大変でしたね...」
ソファに向かい合わせに座り、
一通りの事の経緯を話してもらって彼の誤解は解けた。
私もまた、工藤邸にやってきた経緯を話せば
彼は不思議そうに問いかけてくる。
「....何故有希子さんはその事を僕達に話してくれなかったのでしょう...」
「.....あの人、わざとだな」
「えぇ、僕もそう思います」
有希子さんの悪戯な笑みを浮かべてる表情が私の脳内で再生された。
「とにかく私、有希子さんに電話してみます」
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よんたん(プロフ) - 悠希さん» 有難うございます❤︎頑張れます🥹励みです🥹🍀 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - しまさん» 赤井しゃん...❤︎笑 有難うございます🥹 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - ダイアナさん» 嬉しい...有難うございます😭 (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - アンさん» 頑張れます🍀ありがとうございます❤︎ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
よんたん(プロフ) - さくら(ふぶきち)さん» ありがとうございます❤️ (5月22日 14時) (レス) id: b102824eca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんたん | 作成日時:2023年5月2日 1時