同居人が顔面の良さと色気爆走させてる【赤井秀一】続編

32 ページ32

そして、数日経った。



「うん、今のところ順調に回復してきてるよ
　他に何か困ってる事はない？」



「家に帰りたいです！」



「それはしょうがないね
　他には？」



「特にないです」(言ってもしょうがないんでしょ)




あれから検査入院と
警察からの事情聴取を受けた




「本当に何も覚えてないのね？」


「はい、殴られて気絶して
　起きたら病院にいたので」



「それはそれはかなり長時間眠っていたね」




警察に組織の事は話さなかった。

べつに、大した意味はない。


ただ、ジンが
言っても無駄だって言ってたし。



それに今回のことで彼らは
誰も傷つけていなかった。



私に預けたものを取り返した。それだけだ。












「あぁ〜良い天気〜
　この時間に外で日向ぼっこできるなんてな〜」





いつもはこうは行かない。
本来なら仕事中なのだから。

こんなに長期間休んで、しかもそれっきり仕事辞めちゃうなんて院長や他の衛生士さんには本当に悪いな〜。


あ〜でも気持ちいいなぁ〜日の光が〜。






病院内の庭のベンチで日向に溶けそうになっていると

頭の上にひんやりした何かがコツン、と置かれる。




「えっ...何.....っ！？」




「何してんだよ」





ジト目で見下ろしてくる快斗の姿が。



頭には缶ジュースが置かれていた。




「....くれんの？これ」


「あぁ。それより良いのかよ
　そんなにのんびりして」



「色々あったんだもん
　このぐらいの気持ちでいなきゃ心持たない」



そう、
何も動じないフリをしなきゃ
私はやっていけない。




「それにしても急に一人暮らしするなんて言うんだもんな。それに職場も変えるって」


「一人暮らしは社会人として別に普通でしょ
　有希子さんが過保護だっただけよ
　職場は...こんな事件があったんだもの
　彼らに職場知られてる以上、変えなきゃ」



快斗には、全てを話した。
だからって何がどうなる訳でもないが
お世話になってた訳だし、言うべきだと思った。






「どこ引っ越すんだよ」



「とりあえず大阪に帰るかな」


「.....そうか」


「何？寂しいの？」


「寂しいっつったら東京に居続けてくれんのかよ」


「まあないけど」


「はっ、うぜー」



快斗は何か言いたげだった。


だから私は言いたいことがあるなら言いなさいよ、と
彼の頬をつねった。




「.....いってー...な...！
　俺はただ、あの昴さんとかいう人の事は
　もう良いのか？って思ったんだよ」

33→←31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す