日常 ページ29
特に、日常に大きな変化は現れなかった。
いつも通りの日常、ただそれだけ。
それが1番嬉しい。
ただ、目の前の人物だけはいつも通りではなかった。
「忘れられないんです……どうしても」
「最近そればっかり」
「僕が悪いんでしょうか」
「悪くないって」
いつまで黒島沙和のこと気にしてるつもりなんだろうか。
……早く忘れてしまえばいいのに。
「早く忘れてさ、また別の恋しよ!ね?あ、手塚さんとかは?」
「嫌です」
「だろうね。冗談冗談」
「待ってください」
腕を掴まれる。
……力強いな、なんか。
「雨宮さんのこと、好きになっちゃダメですか」
「私、そういう裏切りはしないんだよ。
それに、ただの友達ぐらいにしか思ってないし」
「そう……ですよね」
危険信号。
校門の前で何してるんだって話だけど。
「A」
「豪さん」
「……こんにちは」
「……こんにちは」
人苦手な人同士の会話……!
ぎこちない。
私は二階堂くんの腕を振り払って、豪さんの手を取った。
私が選んだのは、二階堂くんじゃないから。
「それじゃ、二階堂くんまた」
「……ああ、はい」
手を繋いで、豪さんと2人で歩く。
私は気付かなかった。
後ろで二階堂くんが、
「ああ、惜しかったなぁ……」
と呟いていることに。
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作者名:アンドロメダ | 作成日時:2019年9月11日 20時